Introduction -イントロダクション-

物語は日本が高度経済成長を実現し世界経済の頂点へと上りつめていく時代。巨大組織の中で翻弄されながらも、強い信念と不屈の精神をもって、どんな過酷な状況をも克服してしていく男、恩地 元。『沈まぬ太陽』は、その生き方を通して、人間の尊厳と、飽くなき闘志と再生を描く、壮大なる人間の叙事詩である。

新聞記者のという来歴を持ち、常に社会への警鐘を鳴らす作品を発表し続けてきた原作者・山崎豊子自身が映像化を熱望、「この作品の映画化を見るまでは決して死ぬことは出来ない」と言わしめるほどの著者渾身の一作。映像化不可能とまでいわれた、原作の持つスケール観と時代背景を克明に再現するため、製作陣は万全の体制を整えて臨んだ。そして、原作の刊行から10年の時を経た2009年10月――日本人の魂を揺さぶる感動と慟哭の物語が、遂にその公開を迎える。


日本映画界希有の一大プロジェクトに挑んだのは、錚々たるスタッフ&キャストである。注目のキャストには、今の日本映画を支える最高の顔ぶれが揃った。主人公・恩地 元を演じるのは、『ラストサムライ』『硫黄島からの手紙』など、日本が世界に誇る名優、渡辺 謙。ハリウッドばかりでなく、世界中が注目するその才能で、恩地という男の不屈の姿をスクリーンに刻み付ける。恩地の同僚ながらも、激しい上昇志向ゆえに対立することとなる行天四郎には実力派俳優として観客の心をとらえる三浦友和。恩地に心を寄せながらも、行天の愛人となる三井美樹には、映像・舞台と幅広く活躍し、常に若手女優のトップを走る、松雪泰子。恩地の妻・りつ子には、凛とした佇まいと確かな演技力で数々の日本映画を支える、鈴木京香。そして、政府より巨大企業の再建を託され全精力を注ぐ国見正之を、石坂浩二が滋味あふれる演技で引き締めている。更に、いずれも主演級クラスの豪華俳優陣が、数々のシーンを彩り、まさにオールスターキャストよ呼ぶに相応しい顔ぶれが、本作で一堂に会した。


監督は、日本映画における冒険活劇の金字塔「ホワイトアウト」を手がけた、若松節朗。念願であった原作の映画化に全身全霊を込めて、9ねんぶりとなる大作映画の演出に采配を振るっている。脚本には、「陽はまた昇る」で白熱の企業ドラマを手掛けた俊英・西岡琢也。加えて、音楽・住友紀人(「ホワイトアウト」「アンフェア」)、撮影・長沼六男(「武士の一分」「たそがれ清兵衛」)、照明・中須岳士(「武士の一分」「母べえ」)、美術・小川富美夫(「おくりびと」「椿三十郎」)、録音・郡 弘道(「それでもボクはやっていない」「子ぎつねヘレン」)ら、最高の技術スタッフが終結した。


昭和30年代から、60年代という、終戦から復興を遂げた日本が経済大国へと成長した激動の時代。主人公・恩地 が歩む波乱の人生は、未曾有の航空事故から、やがて政界を巻き込んだ波乱の展開を迎えていく。
物語は、日本のみならず、中東、アフリカ、アメリカへと舞台を移し、国家と組織の中で生きるすべての人びとがかかえる葛藤を壮大なスケールで描いていく。人生の長い旅路の果てに、恩地が見出す“生きることへの願い”は、必ずや観客の魂を揺さぶることだろう。世代を超え、時を超え、語り継がれるべき感動と慟哭の熱い人間ドラマが、3時間を超える巨大編としてスクリーンに登場する。