Introduction -プロダクションノート-

小川真司(プロデューサー)

9月18日(土)

決定稿の印刷がやっとあがってきた。クランク・インまであとわずかだ。今回のシナリオも前作に引き続き高橋さんが担当。約3ヶ月にわたり毎週週末ごとに鶴田監督、高橋さんらと深夜までディスカッションを延々行った。化物でありながら人間である貞子を描かなければならない難しさもあってシナリオ作りは難航した。大島で貞子が発見されるファーストシーンなど、結果として没になったアイデアもたくさんある。


10月3日(日)

西新宿の古いアパートにてクランク・イン。10時スバルビル前出発し、現地到着。準備昼食のあと廊下のカットより撮影開始。午後1時ごろ仲間由紀恵さん登場。午前中は晴れていたのだが、にわかに空が曇り風が吹きだした。貞子の初登場に相応しい天気となる。田中好子さん5時半に現場入り。田中さんは霊感がある(?)らしく、「なんだかぞくぞくした」とのこと。宮地が静子の写真を見るカットに使用した写真に霊が見えると田中さんが言い出し、一時現場は騒然。


10月10日(日)

久野医師が勤務する病院は千葉の大網にある廃病院を一部改装したもの。
ここでは3日にわたって撮影が行われた。最終日の今日はビジュアル・エフェクトの松本さん登場。ブルーバック合成で幽霊を撮影するため。このカットは貞子にしか見えない幽霊を病院の患者がすり抜けていくというもの。エキストラの歩くスピードにタイミングをあわせ、幽霊ぬきの画をまず撮影。そのあと同じキャメラアングルでブルーバック前の幽霊のみを撮影し後から音から合成するもの。はたしてどんな仕上がりになることやら。この撮影にかかる前、入り口屋根に設置してあった照明が屋根から転落。もし真下に人がいたら大惨事になるところ。すわ、はやくも呪いか!? と思ったのだが、原因は吹いてきた風らしい。しかし、機材代金の全部が保険でカバーできなければこれはほんとの呪いかも。


10月16日(土)

前半の舞台となる劇団の稽古場でのシーン。貞子が所属する劇団飛翔は代々本八幡にある青年座のビルを借りて撮影を行った。青年座は有馬薫役の高畑淳子さんが所属する劇団で、今回は舞台慣習をお願いするなどいろいろお世話になりました。衣裳部屋で悦子が少女の貞子の気配にぞっとするシーンの撮影。撮影を行った控え室はかなり狭い。その中でパンサーという特機やドリー(移動車)を使用しキャメラを動かして撮影するので、照明の仕込みやテストにも手間がかかる。「リング0」は全体的にクレーン、ドリーを使用したショットがかなりたくさんあるが撮影の柴主さん、特機の多さんの息がぴったりあってこの作品はすばらしいショットの連続になりました。


10月22日(金)

宮地が貞子を追い詰める劇場での中盤のクライマックスシーンは芝公園にある芝青年ホールで撮影された。この劇場まわりの撮影はロケセットとセットの組み合わせになる。観客席を入れ込んだショットはこの芝青年ホールで撮り、久野医師が燭台に倒れこむカットや舞台袖はセットで撮影することになる。宮地の恋人といっしょに宮地の背後に写りこむ亡霊の役でプロデューサーの永井さんら一緒に写真撮影。この写真をスペシャル・エフェクトの松本さんが心霊写真風に修正して現像室のシーンに使用するのだ。現場にいた田中好子さんが「ほんとに4人しか移ってないのかなあ」と冗談をいう。もう一人…。


10月23日(土)

劇場のクライマックスシーン。エクストラ200人をいれこんでの撮影。撮影が進むと場内も暑くなり待ち時間に眠る人続出。しかし午後からのパニックシーンで結構皆楽しんで怖がる人々を演じていた。午後、シナリオの高橋さんも見学に。「今までとはまったく違った感じの映画になりそうですね」と完成に期待を膨らませていた。


10月27日(水)

今日から4日間蓼科で宿泊ロケ。貞子が追いつめられる森のシーンの撮影である。初日はあいにくの雨。予定を変更して雨を避けて森の小屋で宮地が貞子に襲われるシーンを撮影することに。だが、雨が強くなったために撮影を断念する。仲間さんと麻生さんはゆっくり温泉に入って二人で楽しんでいた様子。


10月28日(木)

昨日の遅れをとりもどすべく撮影開始。雨はあがって朝からいい天気。だが、冷え込みはけっこう厳しい。このあたりはもはや12月なみの気温。昨日準備した森の小屋からはじめる。しかしこのカット明日以降に予定されていたので、貞子のスタンドイン役の竹部さんがまだ到着していない。さあ、どうする。
結果、助監督の厚い視線に根負けして、戸崎さんは仲間さんの写真集を撮影するためにロケ隊に随行していた女性写真家。細身で髪が長いのであっというまに貞子に変身。お疲れ様でした。夜はスタッフ、キャスト揃っての宴会。仲間さんがあさって二十歳の誕生日を迎えるので特別にケーキを仕込み誕生日のお祝いをする。


10月29日(金)

シーン122。森の惨劇場面。本日はじめて劇団員の面々が出演。雨天のためスケジュールが変更になり、今日まで待機していたのだ。ロケ地の森のすぐわきにはかつて映画監督・小津安二郎が野田高梧とシナリオを執筆した別荘跡の石碑が。その由緒ある場所で劇団員が次々と貞子に呪い殺されていく。貞子役の仲間さんは自分のカメラを持参。出演待ちの間にスタッフの写真をパチり。「昨日、監督の出てくる夢を見たんです」と仲間。なんでも、自分は殺されていて心の中で助けをよんでいるのに、彼女に向かって監督が演技指導をしていたのだそうな。


11月13日(土)

最後の1週間は大泉の東映撮影所のセット撮影。それも今日の貞子が井戸の中で絶叫するラストシーンで終了する。角川歴彦社長、原正人エグゼクティブ・プロデューサーが現場を訪れる。「リング・シリーズは3作とも主演女優が井戸の水の中に入るんだね」と角川社長。寒くはないかと仲間さんの体を気づかっていた。「ハイ、オーケー」の監督の声。やっとすべての撮影が終了。


12月15日(水)

3日続いたダビング作業も今日が最終日。「梟の城」なども手がけた大ベテランである録音の瀬川さんのもと順調に作業は進む。この映画にすばらしい曲を作ってくれた音楽の尾形さん、休憩時間中にスタジオにおいてあったピアノで貞子のテーマを演奏。あたりは一瞬、ホテルのバーラウンジの雰囲気に。主題歌はラルク・アン・シエルの「finale」。メンバーはあらかじめシナリオを読みこんで作曲したとのこと。「歌詞をよく聞いてほしいですね」とキューン・レコードでラルクを担当している中山さん。11時半すべての作業が終了。一同で乾杯。お疲れ様でした。