Story -ストーリー-

その囚人は、何度捕まってもその驚異的な身体能力と、奇想天外な手腕を持って脱獄を成功させる。もはや、彼にはいかなる錠や枷も存在しないに等しい。

男の名は、鈴木雅之。

人々は彼をむしろ英雄として「脱獄王」と呼び称えた。しかし・・・。それほどまでにしてなぜ彼は脱獄を繰り返すのか?そして、なぜ捕まるのか?
脱獄王の真の目的とは・・・?

◆暗雲立ち込める空。時折稲光と共に雷鳴が轟き、やがて、建物に直撃する激雷。その瞬間、建物内の照明が消え、けたたましい警笛とサーチライトが辺りを支配する。「鈴木がっ、鈴木がいません!」また、あの男が脱獄したのだ——。

◆——昭和初期。信州第二刑務所にひとりの男が移送されてくる。男の名は鈴木雅之(板尾創路)。胸に逆さ富士の刺青を入れたその男は、無口で物静かな様相とは裏腹に、拘置所を2度も脱走したいわく付きの囚人だった。噂どおり、収監されて1時間もたたないうちにまんまと脱獄する鈴木。刑務所のメンツをかけた必死の捜索により、ようやくほど近い線路で身柄を取り押さえることができたが、看守長の金村(國村隼)は、この男には何かある、という想いに囚われる。

◆その後も、鈴木はどんな刑務所、拘置所に収容されても脱獄を繰り返した。それは、時間の長短や、枷の大小、難易に関わらず、突然意表をついた形で行われる。そしてまた戻ってくる鈴木。通常ならとっくに釈放されている微罪にも関わらず、脱走を繰り返す彼の刑期は計り知れないほど膨らんでいた。

◆次第に世相は戦争に向け、不安定な空気をはらんでくる。かつては看守長だった金村もその実直さが司法省のトップ、上羅(石坂浩二)に取り立てられ政府高官の1人となっていた。ある日、ふと書類に目を落とすと、鈴木雅之の名が、「監獄島送り」として記されていた。「監獄島」とは、もはや戸籍すら抹消され、一度入った者は二度と娑婆に戻ることはないという究極の奈落だ。「鈴木もこれで逃げられないだろう」と思いながらも何故か言いようのない気持ちに襲われた金村は、彼の最後を見届けたいと自ら警護を申し出る。しかし、そこは終わりではなかったのだ。果たして「脱獄王」と呼ばれた鈴木の真の目的とは・・・?