角川映画オススメシネマ映子の部屋-EIKO's ROOM-

今月のピックアップ・バックナンバー

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第59回「最高の出会い、「若尾文子映画祭 青春」」

「若尾文子映画祭 青春」が6月27日から角川シネマ新宿で上映開始いたします(順次全国上映する予定です)。
このコーナーでも数多くの傑作を生みだした増村保造監督との作品を第4回第11回で、原作だけでなく共演も果たした三島由紀夫作品については、第37回で紹介しました。「背徳の恋」を描いた作品は、第41回をご覧ください。
今回は今までなかなか再映の機会がなかった作品から紹介いたします。その理由については、第58回をご覧ください。

まずは、若尾文子の記念すべきスクリーンデビュー作『死の街を脱れて』 (’52)。終戦時、満州に取り残された女性と子供たちが、如何に困難を乗り越え引き揚げることが出来たのかを、後藤田鶴子の原作に、「母シリーズ」で多くコンビを組んだ監督・小石栄一×脚本・館岡謙之助により映像化。略奪を目論む暴徒に加え、人肉に飢えた野犬も群れる荒野を、望郷の念でひたすら日本の地を目指す姿は感動です。若尾は元々出演予定だった女優の急病により、抜擢。見事その抜擢に応える演技で、チャンスをものにしました。また、大映初期の特撮を支えた横田達之と築地米三郎による機関車疾走シーンも見もの。更に、後に名コンビとなる増村保造が、ローマ留学を目前に控え助監督として参加しているのも運命を感じる作品です。

『十代の性典』(’53)は、公開時にセンセーショナルを巻き起こした作品。当時のキャッチコピーが相当煽っていますが、性が氾濫する今現在見ると、むしろ爽やかさを感じる青春映画です。若尾文子、南田洋子らの初々しい演技を、東野英治郎・千田是也・小沢栄太郎らの俳優座重鎮が支え、見ごたえのある映画となっています。

『やっちゃ場の女』(’62)は、駆け落ちした父、病気で亡くなった母に代わり、青果市場(やっちゃ場)の仲買店を取り仕切るちゃきちゃきな下町娘を若尾文子が演じ、上記2作品とは一味違う魅力を発揮。叶順子演じる現代的な妹との対比も印象に残ります。築地、銀座界隈、特に佃島の渡しの懐かしい映像は必見です。

『偽大学生』(’60)は、既に色々な文章で触れられていますが、改めて見どころを紹介すると、「群集心理の恐ろしさを描いた快作」、「学生運動の本質をえぐった問題作」でしょうか。スクリーンでしか見られない傑作ですので、未見の方はこの機会に是非ご覧ください。

今月ご紹介した作品は、「若尾文子映画祭 青春」で上映されます。上映スケジュールはこちらでご確認ください。

『死の街を脱れて』『十代の性典』は、DVDが2015年12月以降の発売予定です。こちらもお楽しみに!

若尾文子映画祭 青春

製作年:

最高の出会いは一度きりではない

巨匠に愛され、名優との共演により、珠玉の傑作を残し今なお輝き続ける女優・若尾文子
幻のデビュー作ほか、一挙上映!


死の街を脱れて

製作年:1952年

若尾文子の記念すべきスクリーンデビュー作!
いっそう殺してくれ!と叫ぶ女・女・女・暴徒と野犬の襲撃に戦きながら、動乱の大陸に日本婦女子が辿る逃避行三千里!

十代の性典

製作年:1953年

生理日に罪を犯した乙女、幼時の過失に悩み死を選んだ乙女、妊娠の恐怖に泣く乙女、思春期の娘の性の秘密を衝く問題作、お母さんと一緒に見て頂きたい性教育の劇映画。

やっちゃ場の女

製作年:1962年

男まさりの江戸ッ子娘がかくれて見せる恋の涙!

偽大学生

製作年:1960年

学生も教授も偽証する!噛まれた私の傷だけが真実を叫んでいる!