角川映画オススメシネマ映子の部屋-EIKO's ROOM-

今月のピックアップ・バックナンバー

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第58回「忘れられない出会いになる「雷蔵祭 初恋」」

16172122回と特集いたしました市川雷蔵(以下、“雷サマ”:呼び方「らいさま」)ですが、ネタは尽きることがないので、約5年ぶりに取り上げたいと思います。
市川雷蔵映画デビュー60周年記念企画「雷蔵祭 初恋」が8月9日から角川シネマ新宿で、9月27日からテアトル梅田で上映開始いたします(順次全国上映する予定です)。
今回は、市川雷蔵映画祭初上映の作品をご紹介いたします。「なぜ映画祭で初上映なのか」と言うと、昭和30年代前半までの白黒作品の原版であるオリジナルネガ(ON)は、危険物扱いとされる「可燃性フィルム(ナイトレートフィルム)」を使用していました。その後消防法の改正により、可燃性フィルムは不燃性フィルムへと切り替える必要に迫られました。可燃性のONを不燃性フィルムに替えるには、一旦マスターポジ(MP)を作成し、そこからデュープネガ(DN)を作る、というネガポジ反転作業が必要になります。上映用ポジはネガが無いと作成できないのです。この切り替え時にMPまでしか作成されなかった作品は、長らく劇場で上映する事が出来ませんでした。今回、MPをデジタル化することでデジタル上映が可能になったのです。
前置きはこの辺にして、作品の紹介を。

『いろは囃子』(’55)は、映画デビュー13本目の作品で、端正な若旦那姿と、いなせなやくざ姿が楽しめる、一粒で二度オイシイ作品です。原作は額田六福の舞台劇「冬木心中」ですが、「原作の味を生かしつつ映画的に仕上げ(当時の作品解説より)」るため、改題したそうです。

『喧嘩鴛鴦』(’56)は、東海道五十三次を東に下る雷サマが密書を狙う暗殺団に加え、四十八人の美女にも追っかけられる明朗痛快道中時代劇。雷サマと瑳峨三智子のコンビに加え、雷サマの新髪型「雷蔵みだし」(当時の作品解説より)や、雷サマと悪役として多く共演した伊達三郎が珍しく将軍役を務めたり、大河内伝次郎のさ行の発音に注目など、見どころがたくさん詰まった作品です。

『二十九人の喧嘩状』(’57)は、雷サマ演じる“吉良の仁吉”と、鬼よりこわい次郎長一家の二十八人衆が暴れまわって切りまくる一篇。仁吉の恋女房・お菊に瑳峨三智子を迎え、“おしどりコンビ”は健在。男と男の義理と、恋女房の間で苦悩する雷サマのお姿に涙必至です。

『鬼火駕籠』(’57)は、5作品振りに瑳峨三智子と共演した作品。侍くずれの町奴で、ひとたび異変が起きたら白頭巾の正義の味方として颯爽と登場する雷サマは必見! 記憶を喪失してしまう家老の娘を演じる中村玉緒が可憐です。

『旅は気まぐれ風まかせ』(’58)は、“新しい時代劇を”の合言葉の元、股旅物に明るい現代調をまぶした清新時代劇です。本格時代劇初挑戦の根上淳をコンビに迎え、雷サマがおとぼけ旅がらすを演じます。リクエストナンバーワン作品がスクリーンに蘇えります。

今月ご紹介した作品は、「雷蔵祭 初恋」で上映されます。既にご覧になった方には懐かしく、未見の方には新たな魅力が感じられる作品だと思います。上映スケジュールはこちらをご確認ください。

また、第5053回と2回に分けて特集したことが実ったのか、成田三樹夫唯一の映画主演作品『怪談おとし穴』(’68)がDVD発売いたしました。こちらも是非ご覧ください!

いろは囃子

製作年:1955年

やくざから若旦那、若旦那からやくざへ! 人気絶頂の雷蔵が、恋と喧嘩の江戸ッ子タンカ!

喧嘩鴛鴦

製作年:1956年

花も嵐もふみこえて、
行くが男の喧嘩旅!
待つは女難と剣の林!

二十九人の喧嘩状

製作年:1957年

海道切っての暴れん坊、鬼よりこわい二十九人が、荒神山に血風まいて、暴れまくる斬りまくる!

鬼火駕籠

製作年:1957年

その駕篭待った!合図の角笛、渦巻く鬼火、狙う銃口、飛ぶ手裏剣、闇から湧いた白頭巾!

旅は気まぐれ風まかせ

製作年:1958年

名剣客の一人息子と大親分の次男坊が身分をかくして旅に出た!

怪談おとし穴

製作年:1968

深夜、無人のビルに響く女のすすり泣き!
タイプ室から、更衣室から、エレベーターの天井から……
身も凍る戦慄があなたの背中につきまとう!