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今月のピックアップ・バックナンバー

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第57回「早すぎた映画監督 増村保造」

今年は大映を代表する監督のお一人、増村保造監督が生まれて90年になります。今回は、増村監督作品の中でおススメする作品を紹介します。

増村監督は、1924年生まれで、47年大映東京撮影所に入社し、52年にはローマの映画実験センターに留学。55年の帰国後は、溝口健二監督・市川崑監督らの助監督をつとめ、57年には旧来の監督では出せない独特のタッチで描いた青春映画『くちづけ』で鮮烈な監督デビューを果たしました。その後もセンセーショナルな作風で、一躍名監督の仲間入りをしました。大映倒産後も映画を撮る一方で、テレビ界にも進出し「赤いシリーズ」など“大映ドラマ”の礎を築きました。しかし、86年に62歳の若さで永眠されました。その後の日本の変化を、増村監督だったらどう描いたのか、を思うと残念でなりません。

『闇を横切れ』(’59)は、サスペンスドラマ。ある地方都市での市長選挙真っただ中、現職候補対抗馬の革新候補が殺人容疑で逮捕される。新米記者・石塚(川口浩)はこの事件に疑問を抱き、信頼する編集局長・高沢(山村聡)の激励を受け、事件の真相に迫る。しかし、そこには思いもよらぬ黒幕がいた…。劇中に流れる音楽を使用しないことで、より緊張度が増した作品。口笛で流れる「ラ・マルセイエーズ」が重要なアクセントに! サッカーのフランス代表ファンと名古屋グランパスファンも必見です!(両チームともこの音楽が応援歌のひとつなのです。ええ、私はグランパスファンです)

『ぐれん隊純情派』(’63)は異色青春映画のひとつ。その日暮らしに事欠く有様のチンピラ、銀之助・松・豊たち。そんな中、旅役者だった銀之助の父が死んだと知らされる。一座の金目の物を売り払おうと考えた松と豊だったが、銀之助は一座を継ぐと言い出す。ズブの素人集団の師匠として、今は風呂番となっている雁右衛門を担ぎ出し、銀之助は上達していき、松と豊も芝居の面白さに目覚めていく。いざ旗揚げ、となるが古いしきたりが、彼らに立ちはだかる…。雁右衛門を二代目・中村鴈治郎が演じ、劇中劇も素敵な舞台に! 往年の時代劇スターをもじった役名や劇中劇の歌舞伎、おまけにプロレタリア劇団っぽい演目まで出てきて、日本演劇史にオマージュをささげた作品、か?

『積木の箱』(’68)は、多感な十五歳を中心とした、ある名家が崩壊していくお話。一郎は「転校が多い」という不満以外は何一つ不自由のない家庭に生まれ育つ。しかしある日、姉と信じていた人と父親が抱き合う姿を目撃してしまう。姉ではなく、愛人だったのだ。一郎は、父・愛人はもとより、この状況を黙認する母も許せなかった。家庭に寄り付かなくなった一郎の心の拠り所は、学校前の売店を経営する久代一家だけだ。しかし、久代もまた一郎に関わる秘密を抱えていた…。後期の増村作品に見られるエグイ描写が本作でも炸裂!

『女体』(’69)は増村監督と浅丘ルリ子が組んだ初めてにして唯一の作品。ミチは束縛を嫌い、既婚者だろうが、婚約者がいようが、自分の好きという気持ちにだけ忠実に生きる、自由奔放な女性。映画の中では魅力的な女性に見えますが、周りにいたらはなはだ迷惑ですかね、やはり?

今月ご紹介した作品のうち、『積木の箱』は6月27日発売、『闇を横切れ』と『女体』は8月29日にDVD発売を予定しています。

また、弊社では保有するライブラリー作品を、より多くのお客様にご覧いただき、次世代にも継承していこうと新ブランド「角川シネマコレクション」を発足させました。大映・角川映画・日本ヘラルド映画の豊富な作品を、今まで以上に様々なメディアを通じて皆様にご提供していきます。是非、こちらもご贔屓にしてください。詳しくは、こちらをご覧ください。

また、6月24日(火)から東京国立近代美術館フィルムセンターで、「映画監督 増村保造」という増村監督の大回顧特集上映があります。今回ご紹介した作品も全て上映されます。詳細はHP (http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2014-7-8/kaisetsu.html) でご確認ください。
公開当時センセーショナルを巻き起こした増村監督の作品たちですが、今見ても衝撃度は色あせません。この機会に増村監督の作品をじっくり見てはいかがでしょうか?

闇を横切れ

製作年:1959年

すべての口が封じられている!殺されても記事にするぞ!

ぐれん隊純情派

製作年:1963年

街から街へつむじ風!悪い奴ならトコトンやるぜ!恋も喧嘩もケタはずれ!

積木の箱

製作年:1968年

獣のように戯れる二人は、姉と信じていた人と父だった!
もろい積木のように崩れさる少年の心に殺意と性の衝動が爆発した!

女体

製作年:1969年

燃える!
女が燃える!
激しく、美しく、狂おしく---
浅丘ルリ子が初めて見せる愛の十二態!