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今月のピックアップ・バックナンバー

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第52回「『大映70周年記念特集〜我が心の大映』最終回 今月のおススメ3作品『幻の馬』と『白い巨塔』・『金環蝕』」

先ずは『幻の馬』(’55)のご紹介。
第42回でも取り上げた本作ですが、当時の大映社長・永田雅一がオーナーだった伝説の名馬「トキノミノル」をモデルにし、動物と人間のふれあいと、日本ダービー優勝を目指す八戸に住む牧場一家の成長を描いた物語です。『緑の小筐』(’47)や『有楽町で逢いましょう』(’58)、『アスファルト・ガール』(’64)などを手掛けた大映・音楽映画の巨匠、島耕二が監督・脚本・音楽を担当しました。共同脚本は長谷川公之、共同音楽は大森盛太郎が担当。
約60年前の作品ということで、東京競馬場でのスタートを切る場面では、紐のゲートを人力で開くシーンなど今では見られない光景も見所です。恐らく当時としては珍しい、競争中の馬を空撮で捉えたシーンも、勝負の緊張感を更に高めます。
主人公の少年・一郎の兄・二郎を演じる遊佐晃彦は、本物の騎手だったということで、普段の演技はともかく、騎乗シーンでの凛々しさはどんな名優をも凌ぐと言えましょう。また、その二郎に助言をする先輩騎手役には、これも本物の騎手で後に調教師となる二本柳俊夫が演じています。当然、競馬に関わる助言なので、その説得力たるや並の俳優では到底適いません。
去年行われたロケ地・八戸での上映では、クライマックスの競争シーンでは拍手が起きました。笑えて、泣ける(泣きは4回を最低保障)という、古き良き時代の邦画らしい娯楽作品です。

続いてのご紹介は、DVD発売中の『金環蝕』(’75)。
12月16日に総選挙が行われますが、ここで行われる選挙は与党の総裁選挙、つまりは首相の椅子を巡る選挙です。九頭竜川ダム落札事件という実際の汚職事件をモデルとした石川達三の同名小説が原作の超骨太ドラマです。
総裁の椅子を巡り、政治家は権力掌握のために札束を飛び交せ、財界人は甘い汁をすするために実弾を用意し、末端の人間はその犠牲となって消されていく…。様々な人間が右往左往するサマは滑稽ではありますが、ベースが実話だと思うと薄ら寒さを覚えます。

続いてのご紹介は、これまたDVD発売中の『白い巨塔』(’66)。
こちらは、大学医学部の教授選が中盤の山場となる、原作・山崎豊子、監督・山本薩夫、脚本・橋本忍の社会派映画です。
教授選を巡り、患者の命より教授昇格を目指す医師・財前、財前を利用して権力拡大・利権拡大を狙う医師たち、外野の喧騒を気にかけず患者・医学の向上にまい進する医師たち。それぞれの人間模様が渦巻きます。権力という魔物に取り憑かれた人間が勝ち残り、ひたすら患者を思い続けた人間が職場を追われるというブラックなラストが、雇われ人の悲哀を感じさせます。

今月ご紹介した『幻の馬』の詳しい上映スケジュールはこちらでご確認ください。また、『金環蝕』『白い巨塔』は、当社からそれぞれDVDを発売しています。
大スクリーンで心温まる作品を見るも良し。投票してから社会派映画を見るか、社会派映画を見てから投票するか、それもまた一興です。

幻の馬

製作年:1955年

“幻の馬”と呼ばれ、伝説の名馬・トキノミノルをモデルにした感動作! 古き良き日本の姿がここにある!

緑の小筐

製作年:1947年

音楽をふんだんに盛り入れた、戦後間もなくの前衛的ミュージカル映画の傑作!

有楽町で逢いましょう

製作年:1958年

有楽町で逢い、
道頓堀で恋を知る!
若き哀歓をかなでる総天然色の恋愛大作!

アスファルト・ガール

製作年:1964年

華麗なるメロディ! ダイナミックな踊り! ミュージカルにのったエネルギーの祭典!

金環蝕

製作年:1975年

まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真っ黒に腐っている

白い巨塔

製作年:1966年

誤診という名の殺人! 人の命を救うはずのメスが、野望のためにみがかれる!
謀略が渦巻き、欲望がおどる、日本医学界の内幕!轟然たる反響を呼んだ問題小説を最高のスタッフ・キャストで映画化!
患者の命より名誉と権威が優先す!恐るべき医学界の裏面を鋭くえぐる2時間30分!
田宮二郎主演、医学界の腐敗を暴いた巨匠・山本薩夫の渾身の大作!