角川映画オススメシネマ映子の部屋-EIKO's ROOM-

今月のピックアップ・バックナンバー

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第5回「戦争の記憶を映画に残す」

『巣鴨の母』。第二次大戦で四人の息子のうち三人までを戦争に奪われた老母あき。やっと南方から復員してきた末の息子も戦犯として巣鴨プリズンに投獄されます。“母”シリーズで、無償の愛を演じ続けた三益愛子主演の人間ドラマです。SMAPの中居くん主演、11月公開の『私は貝になりたい』(東宝)も、戦犯を扱ったお話。『羅生門』『白い巨塔』の脚本家・橋本忍氏渾身の作品。重厚なドラマになっていることでしょう。

市川崑監督、船越英二主演の『野火』は太平洋戦争末期のフィリピン・レイテ島が舞台。戦場における狂気と虚無感をこれほど描いた映画はないと思います。

『赤い天使』は増村保造監督が描く日中戦争従軍看護婦の物語。主演は若尾文子。

同じく若尾文子主演の『その夜は忘れない』。監督は吉村公三郎。舞台は戦後17年たった広島。週刊誌の記者である川崎敬三が「17年後の広島」を取材しに東京からやってきますが、予想に反し、原爆に関する証言を集めることができません。年若い彼が「もう戦争の爪あとなど残っていないのではないか」という思いに傾きかけたころ、一人の女性に出会います。特に女性の描写が素晴らしく、心の奥に残る映画です。

『独裁者』。チャップリンの代表作といっても過言ではないでしょう。世界を震撼させていた独裁者を描き、まさに命を賭して戦争反対を貫いているのです。

悲しいことに、第二次大戦後も世界中で紛争が絶えることはありません。フランシス・コッポラ監督の代表作『地獄の黙示録』はベトナム戦争を描いた、傑作の誉れ高い作品です。

『無法松の一生』。この作品は戦争そのものを描いているわけではありません。日本映画史上屈指のドラマといわれる本作ですが、80分しか現存していません。43年に作られたこの作品は、戦時中に軍部により、また戦後はGHQにより、二度の検閲を受け、短縮を余儀なくされたのです。また主人公が無私の思いを捧げる未亡人を演じ、その演技が絶賛された女優・園井恵子は、広島で受けた原爆が原因で、若くして亡くなっています。その痛みをこの映画にみるのです。

豊かで一見何の不安もない現代に生きる私たちが忘れてはいけないことを、映画が教えてくれることもあるのです。

巣鴨の母

製作年:1952年

愛する息子が戦犯に…
母は待ちます、何時までも…

野火

製作年:1959年

野火燃ゆるレイテの戦場にとらえた異常な真実!
魂を失った人間の極限を描く、ヒューマンの香り高い市川崑の傑作!

赤い天使

製作年:1966年

天使か娼婦か!兵隊の欲望に女の愛がやさしく応える!
血と泥の戦場に真実のいのちを求める従軍看護婦!

その夜は忘れない

製作年:1962年

女として死ぬよりつらい夜がふける・・・・

独裁者

製作年:1940年

地獄の黙示録 特別完全版

製作年:2000年

映画史上、これほどの衝撃をもたらした作品があるだろうか―――。
53分もの未公開映像を加えて完全復活!!!

無法松の一生

製作年:1943年

九州小倉の名物男
酒と喧嘩が大好きで、命知らずの負け知らず
人呼んで<無法松>という…
そんな男にも、胸の奥深く珠玉のごとき愛があった