角川映画オススメシネマ映子の部屋-EIKO's ROOM-

今月のピックアップ・バックナンバー

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第46回「映画保存にまつわるエトセトラ」

この1〜2年で、映画のデジタル化が急激に進み、多くの劇場でデジタル上映が一般的になってきました。それに伴い映画の原版もデジタル化されています。しかし、つい最近まで映画と言えば “フィルム”でした。
デジタル化が進む現在ですが、今後も過去のフィルム作品を皆様にご覧いただくべく、最適な形でお届けします。劇場での上映、DVD ・Blu-rayやテレビでのご視聴も、原版を適切に管理していますので、視聴メディアに応じて各種変換作業を行っていきます。新作はデジタル化が進んでいますが、過去の「フィルム原版」については引き続きオリジナルを保管していきます。
角川書店ではフィルムの保管と共に、デジタル技術を使った復元にも取り組んでいます。2004年には東京国立近代美術館フィルムセンターと共同で溝口健二監督の『新・平家物語』(’55)を、2008年にはアメリカ映画芸術科学アカデミー、フィルムセンターと三者共同で黒澤明監督の『羅生門』(’50)のデジタル復元を行いました。『羅生門』では、“全米映画批評家協会映画遺産賞”を受賞しました。そして、昨年はフィルムセンターと共同で『地獄門』(’53)のデジタル復元を行いました。これらはあくまでも「製作当時のオリジナルティ」を追求しており、デジタルの技術を使ってフィルムの良さである高画質、色合い、コントラストを現在に甦らせています。

現在、東京・京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンター・大ホールで上映されている特集上映で『地獄門』デジタル復元版も上映されますので、他の上映作品と共にご紹介します。

『地獄門』(’53)は、「大映初のカラー作品」として当時の一流スタッフ・キャストを集めて製作されました。本作は色彩技術が海外でも高い評価を得、カンヌ国際映画祭でグランプリ、アカデミー賞の最優秀外国映画賞・衣裳デザイン賞を獲得しました。今回のデジタル復元では、オリジナル・ネガから三色分解して保管されていたマスター・ポジを主な復元の元素材として採用し、デジタルならではの技術で、製作当時の色合い・画像に限りなく近付けました。今回、4月28日(土)に2回上映しますが、1回目終了後に復元の監修をしていただいた森田富士郎撮影監督と復元作業を行った?蟹MAGICAの担当者によるトーク・イベントが開催されます。

また、フィルムセンターでは、平成21年度補正予算から映画保存のための特別事業費を得て、通常の収集活動では困難なフイルム・コレクションの拡充や原版素材の整備に取り組んでいます。その事業の一環で映画各社の作品も複製されましたが、角川書店が所有する原版から複製された作品を、「大映篇」として特集するものです。上映される作品をいくつか紹介します。

『火山脈』(’47)は、野口英世の伝記映画で、幼少の頃から外国で成功して凱旋帰国するまでを描き、森雅之が野口の風貌を似せて熱演しています。
『編笠権八』(’56)は、剣の道と恋の道、相反する立場で苦悩する浪人と武家娘の愛情を描いています。市川雷蔵が始めてニヒルな役に挑んだと言われる作品。
『一夜の百万長者』(’57)は、斎藤寅次郎監督お得意の喜劇モノで、落語「芝浜」の現代版といった作品。笑いあり・涙あり・歌ありで、一級の娯楽映画です。
今回上映される作品は、全て音のノイズリダクションが施されており、セリフ・音楽などが聞き取り易くなっています。お近くの方やGWに東京へお越しの方は、是非足をお運びください(詳しくは、こちら)。

今回ご紹介した作品の内、弊社から『地獄門』『羅生門』はBlu-rayとDVDを、『新・平家物語』『編笠権八』はDVDのみ発売しております。『地獄門』には、特典としてデジタル復元の図解や舞台裏の音声解説などを収録。GWは、めったにお目にかかれないこれらの作品をご覧になってはいかがでしょうか?

新・平家物語

製作年:1955年

反逆児青年 清盛の野心と、恋と、情熱は、今もなお、現代の若い人達の心の中に生きている!

羅生門 デジタル完全版

製作年:1950年

映画史上に燦然と輝く日本映画の至宝! 黒澤明監督の代表作
私はこの映画でムツカシイことを言おうとしているのではありません…。
どうかこの映画をムツカシク見ていただかない事を希望します。
                                  1950年 黒澤 明

地獄門

製作年:1953年

「羅生門」を凌ぐ激情と昂奮!
「源氏物語」に勝る豪壮華麗!
加えて眼を奪う鮮烈の色彩!
総力を挙げて世界に贈る…イーストマン・カラー大映第一回総天然色映画

火山脈

製作年:1950年

野口英世博士の伝記を描いた作品。

編笠権八

製作年:1956年

斬るか斬られるか、女心を捧げつくした青年剣士こそ、求め求めた父の仇!

一夜の百万長者

製作年:1957年

四百万円の宝くじが当たったばっかりに、可愛い娘が家出した。笑いと涙の長篇喜劇!