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今月のピックアップ・バックナンバー

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第40回「復興に想いを馳せる」

絶賛公開中の『日輪の遺産』は、ベストセラーを数々生み出す浅田次郎が自ら映像化を熱望していた同名小説が原作です。
ポツダム宣言受託決定を目前に控えた1945(昭和20)年8月10日、真柴少佐以下、3人の軍人に陸軍上層部から密命が下る。「マッカーサーの財宝、900億円を隠匿せよ!」。それは敗戦を悟った軍上層部が祖国復興を託した軍資金であった。勤労動員として召集されたのは、「弾薬箱の運搬」と聞かされていた20名の少女と引率の教師1人。「御国の為に」と信じて疑わず健気に作業する少女たちの姿に心洗われる真柴たちであったが、彼らに下された新たな命令は非情なものであった。少女たちに待ち受ける運命は? 人間らしさと軍人らしさで葛藤する真柴ら3人の決断とは?
真柴少佐を演じる堺雅人を主演に、中村獅童、福士誠治、ユースケ・サンタマリア、八千草薫らが脇を固め、そんな豪華共演陣の心をも動かした森迫永依、土屋太鳳ら20名の少女たちの演技も必見です。『出口のない海』・『夕凪の街 桜の国』で戦争の傷跡を描いてきた佐々部清が監督を務め、本作では「戦後の復興を成し遂げた日本人としての矜持」をテーマにしたそうです。復興に信念を貫いた4人の男と20人の少女たちの運命を描いた『日輪の遺産』を是非ご覧ください!

『日輪の遺産』は、終戦間際に戦後日本の未来を信じた人々を描いた作品です。今月は、戦後復興期を舞台にした作品をご紹介します。

勝新太郎の当たり役となった「悪名」シリーズは、第3作目の『新・悪名』(’62)からは戦後が舞台。十数年ぶりに復員してきた朝吉を驚かしたのは、彼の戦死の誤報で建てられた立派過ぎる墓ではなく、最愛の妻・お絹(中村玉緒)が、彼の死を信じて他人の妻になったことだった。自分の身代わりで死んだ相棒・モートルの貞に負い目を感じる朝吉は、ヤクザな稼業を営む彼の実弟・清次(田宮二郎)を更生させようとするが…。戦後の闇市で必死に生きる人々を、暗黒街の魔の手から守る朝吉の姿が痛快です。

『修道院の花嫁』(’46)は、復興期の若者たちが牧場再建のために希望を持って集うお話。外地から復員してきた雄吉は、家業の牧場が閉鎖寸前と知り、牧場復興に協力してくれる仲間を集めるため、旧友・戦友がいる東京に向かう。しかし、終戦間もない東京はまだ空襲の傷跡が色濃く残り、旧友たちも自分たちの生活で一杯だった。だが、雄吉の復興に懸ける情熱に打たれた旧友たちが次々と牧場行きを承諾してくれた。残るは雄吉が戦死したと誤解して修道院に入った許婚だけとなったが…。戦後間もない東京で撮影された、希望に溢れる作品です。

復興に寄与しようと復員してきても、叶わなかった人たちもいました。それは、戦犯として拘束された人達です。『巣鴨の母』(’52)は、実話を基にした若き戦犯とその老母の溢れる愛情を描いた作品です。

敗戦直後の上野を舞台にしたのが『麻雀放浪記』(’84)。17歳の少年・哲也がギャンブルの世界に足を踏み入れ、様々な勝負師との出会いで人生を学んでいく、アウトロー社会を舞台とした青春記です。阿佐田哲也の同名小説を原作に、イラストレーターやエッセイストなど多才を発揮していた和田誠が初監督作品として作り上げました。和田監督がこだわったモノクロ映像は、撮影・安藤庄平の手によって映像美として映し出されました。

今回ご紹介した作品の内、『新・悪名』『巣鴨の母』『麻雀放浪記』が弊社からDVDを発売しております。

新・悪名

製作年:1962年

大陸仕込みの朝吉仁義!
悪名コンビ待ったなしの大暴れ!

修道院の花嫁

製作年:1946年

女だけの都・神秘のヴェールに包まれた修道院。
そこは肉体と精神の相克に喘ぐ若い女たちのいのちが渦をまいてゐた!
その修道院から彼女をワシづかみにした、逞しい恋の異端者

巣鴨の母

製作年:1952年

愛する息子が戦犯に…
母は待ちます、何時までも…

麻雀放浪記

製作年:1984年

本物のろくでなし、あんたに惚れた。