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今月のピックアップ・バックナンバー

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第33回「年末の風物詩【忠臣蔵】を観る!」

12月18日から公開する『最後の忠臣蔵』は、“脚本家・池上金男”として『十三人の刺客』のシナリオを執筆した小説家・池宮彰一郎の同名小説を、「北の国から」の杉田成道が監督、『セーラー服と機関銃』の田中陽造が脚本を担当し、映画化した作品です。 世情を騒がせた赤穂浪士の討入りから16年。四十七士には、一人だけ生き残りがいた。大石内蔵助から「真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよ」という使命を与えられた、寺坂吉右衛門だ。ある日、寺坂は意外な人物を見かけて驚く。討入り直前に逃亡した瀬尾孫左衛門だ。寺坂は、瀬尾に生き延びた理由を詰問するが、彼の返答は寺坂に刃を向けることだった。実は、瀬尾も大石から極秘の使命を帯びており、それは無二の友であった寺坂にも言えない大石の秘密であった……。
瀬尾孫左衛門に役所広司、寺坂吉右衛門に佐藤浩市と、日本映画を代表する二人の名優による演技のぶつかり合いが見もの。意外なことに、本格的な共演は本作が初になります。物語の鍵を握る大石内蔵助には歌舞伎界を代表する名優・十五代目片岡仁左衛門が扮し、内蔵助の隠し子・可音に新進女優の桜庭みなみを杉田監督が抜擢、見事その期待に応える好演を見せています。山本耕史、風吹ジュン、田中邦衛、伊武雅刀、笈田ヨシ、安田成美ほか、豪華出演陣が物語を彩ります。誰もが知っている「忠臣蔵」の、誰も知らない本当の結末、本当の感動がここにあります。

今月は『最後の忠臣蔵』の公開に合わせて、「忠臣蔵」に関連する作品をご紹介します。

「忠臣蔵」は江戸中期の元禄時代を舞台に、「元禄赤穂事件」という実際の出来事を題材にした物語の総称です。物語なので、そこには脚色・創作などが施され、謎の多い事件をドラマティックに彩り、歌舞伎・人形浄瑠璃から始まり、小説、映画、テレビと様々なメディアで語り継がれる日本の代表的な物語です。
当コーナー「映画でお花見しませんか?」で、『忠臣蔵』と『薄桜記』について紹介していますので、そちらをご覧ください。

『赤穂義士』(‘54)は、浪曲作家の萩原四朗が原作を担当、浪曲界四大巨頭の口演・出演により「忠臣蔵」を描いた物語。「殿中松の廊下の刃傷から内匠頭の切腹」、「義士の東下りと吉良邸図面入手の苦心談」などお馴染みのエピソードを4つ抜粋し、それぞれを4人の浪曲師が口演。冒頭には4人の口上があるなど、浪曲を前面に打ち出した異色作です。

『薄桜記』はシリアスな「忠臣蔵外伝」ですが、『ドドンパ酔虎伝』(‘61)は“恋と笑いの二刀流”(当時のプレスより抜粋)を加味した、ミュージカル調「忠臣蔵外伝」。ここでも主役の中山安兵衛(後の、堀部安兵衛)を勝新太郎が演じ、クライマックスの高田馬場の決闘では、当時大流行したドドンパのリズムに乗って斬りまくる、知る人ぞ知る人気作品です。

“お岩さん”で有名な鶴屋南北の歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」。実は、この作品も「忠臣蔵外伝」。初演時は「仮名手本忠臣蔵」と合わせて上演されたそうです。民谷伊右衛門は、塩冶浪士(“塩冶”は「仮名手本忠臣蔵」における、“赤穂”の設定)。南北が原作の『四谷怪談 お岩の亡霊』(‘69)での伊右衛門も主家の没落から浪人暮らしという設定。「首が飛んでも動いてみせるわ!」というセリフ(脚本:直居欽哉)が印象的な佐藤慶の伊右衛門は日本映画史上に残る悪党振りです。

「忠臣蔵」前日譚とも言うべき『刃傷未遂』(‘57)は、吉良邸討入りに先立つこと2年、内匠頭と同じ勅使饗応役を仰せつかった正義漢の青年大名が、傲慢・強欲の上野介を散々にやっつける、という話。長谷川一夫と勝新太郎が共演していますが、青年大名役が長谷川一夫というのも時代を感じます。

今月ご紹介の内、『四谷怪談 お岩の亡霊』は弊社でDVDを発売しています。年末年始は「忠臣蔵」三昧で過ごす、というのはいかがでしょうか?

【今月のお薦め新作映画】
『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督の最新作『シチリア!シチリア!』は、監督の原点であるシチリアを舞台に、監督自身の半生、そして監督の父親の人生をも投影した物語。12月18日より全国ロードショーです。

最後の忠臣蔵

製作年:2010年

生き尽くす。
その使命を、その大切な人を、守るために。

赤穂義士

製作年:1957年

ご存知、天野屋利兵衛鉄石の義心を、春日井梅鶯、天津羽衣、春野百合子、松平国十郎の胸打つ名調子に乗せて贈る浪曲忠臣蔵の傑作!

ドドンパ酔虎伝

製作年:1961年

あっと驚く時代劇!
ドドンと踊ってパッと斬る!
恋と笑いと二刀流!

四谷怪談 お岩の亡霊

製作年:1969年

女の執念、見せようぞ!豊かな黒髪ズルリと抜けて、おぼろ明りの初夜の床!べっとり血濡れた無惨な形相!

刃傷未遂

製作年:1957年

長谷川一夫、勝新太郎、岡田茉莉子の三大スター顔合わせで贈る黄金時代劇。

シチリア!シチリア!

製作年:2009年

人生は、どこを切っても美しい。
『ニュー・シネマ・パラダイス』で、全世界を感動の涙で包んだジュゼッペ・トルナトーレ監督最新作!

ニューシネマパラダイス/完全オリジナル版

製作年:1989

初公開版に新たに約51分・60カット。主に主人公トトの青年時代のエピソードを追加したロング・バージョン。