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今月のピックアップ・バックナンバー

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第30回「“母と娘”の関係から、親子の絆を映画で知る!」

咲乃月音の小説「さくら色 オカンの嫁入り」を映画化した、『オカンの嫁入り』は9月4日から公開します。
陽子と月子は、母ひとり子ひとりで仲良く暮らしてきた親子。ある日の深夜、陽子が酔っ払って若い金髪の男・研二を連れて帰ってくる。しかも、陽子は研二と結婚すると言う。突然の母親の再婚話にとまどう月子。死に別れた父のこと、付き合いを黙っていたことなど月子は次第に怒りがこみ上げていたが、陽子が研二と一緒に住むと勝手に決めしまい、ついには家を飛び出してしまう。そんな勝手な振る舞いをする陽子には月子に言えない秘密があり、月子も大きな心の傷を抱えていた…。すれ違ってしまった二人の絆は、再び結びつくのか?
ぶつかり合いながらも強い絆で結ばれている母娘を演じるのは日本映画界を代表する女優、宮?アあおいと大竹しのぶ。初共演となる本作で、関西弁を完璧にマスターし、絶妙な掛け合いを見せます。研二役には、話題作での活躍が続く桐谷健太。監督と脚本を務めたのは、デビュー作『酒井家のしあわせ』でサンダンス・NHK国際映像作家賞/日本部門を受賞した呉美保。何気ない日常における感情の機微と、母の再婚話から生まれる非日常における感情のすれ違いを丁寧に描き、温かい親子の物語になっています。

今月は『オカンの嫁入り』の公開にあわせて“母と娘”の関係を描いた作品を紹介します。

戦後、母と子を描いた傑作シリーズに大映の「母もの」映画があります。基本フォーマットは、主演に三益愛子を配し、やむを得ぬ事情から幼いわが子を手放した母親が、良家に引き取られ成人した子と再会する。しかし、わが身を恥じて身を引こうとする…、といった内容です。監督・森一生と脚本・依田義賢による第一作目の『山猫令嬢』(’48)から基本パターンはほぼ確立されていました。この作品以降10年余りの間に30本近くの「母もの」映画が作られました。

ケストナーの「二人のロッテ」を日本に舞台を移して翻案した『ひばりの子守唄』(’51)の主演は、もちろん美空ひばり。両親の離婚により離れ離れに暮らす双子の姉妹を美空ひばりが一人二役で演じ、両親を仲直りさせようと奔走します。当時の宣伝文には「唄と笑いと涙でつづる大映得意の母映画」とあります。監督は島耕二、脚本は渡邊一郎。

愛してしまった人が、死んだ母の昔の恋人だったら? 娘として母を捨てたことへの反発心、女性として芽生えた恋心。揺れ動く17歳の不安定な心を、原田知世が見事に表現したのが、『早春物語』(’85)。赤川次郎が原田知世のために書き下ろした同名原作を澤井信一郎監督が映画化。

ふと知り合った少女が、実は22才の時に別れた女性の娘だったら?不惑の歳を迎え、人生の岐路に立たされた男性が、時代を超えて母と娘への気持ちに揺れる…。伊勢正三の名曲「22才の別れ」をモチーフに、母娘二代にわたる切ないラブストーリー『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』(’06)を紡ぎだしたのは映像作家・大林宣彦。

いびつな母と娘の絆を描いたのは、『愛を乞うひと』(’98)。下田治美の同名原作を、脚本・鄭義信、監督・平山秀幸の手により、映画化。虐待行為でしか娘と関われなかった母親・豊子、壮絶な過去を封印してきた娘・照恵、照恵の娘・深草。三世代にわたる母娘の物語を通して「親子の絆」を描いた感動作です。

親子の絆は人間だけのものではありません。『チロヌップのきつね』(’87)は、高橋宏幸の絵本を原作に、キツネ母娘の絆を描いたアニメーション作品です。太平洋戦争末期、キツネの皮を獲るために兵隊が仕掛けワナにはまってしまった娘ギツネと、それを助けようとする母ギツネの深い愛情に満ちたお話。

今回ご紹介のうち、『ひばりの子守唄』、『早春物語』、『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』と『愛を乞うひと』は弊社からDVDが発売されています。
“家族の崩壊”が深刻な社会問題になっていますが、これらの作品を通して親子の絆を再確認されては、いかがでしょうか?

オカンの嫁入り

製作年:2010年

今日、私は”花嫁の娘”になる。

山猫令嬢

製作年:1948年

終戦後、多くの人が涙した“母もの映画”の記念すべき第1作目!

ひばりの子守唄

製作年:1951年

美空ひばり二人登場!
唄と笑いと涙でつづる大映得意の母映画!

早春物語

製作年:1985年

目をそらさないで。私を見て。

22才の別れ

製作年:2006年

『なごり雪』に続く大林宣彦・大分三部作の第二弾。
伊勢正三「22才の別れ」をモチーフに描く、母娘二代にわたるあまりに切ない恋の物語。

愛を乞うひと

製作年:1998年

壮大なスケールで描く、三世代の母と娘の心の軌跡。

チロヌップのきつね

製作年:1987年

命より大切なものを抱きしめて…涙と感動を呼ぶキタキツネ親子の愛の絆。