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今月のピックアップ・バックナンバー

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第25回「映画でお花見しませんか?」

一度は死を決意した男が人生の一発逆転を狙ってヤクザ・警察と三つ巴の戦いを繰り広げるクライム・エンタテインメント・ムービー『誘拐ラプソディー』が4月3日から公開されます。
金なし、家なし、仕事なしと、とことんツキに見放された伊達秀吉に残されたのは、借金と前科だけ。そんな彼の前に家出少年・伝助が現れる。伝助が金持ちの家の子供と知った秀吉は、伝助の身代金を要求し、人生の一発逆転を企てる。しかし、伝助の父親は地域随一の暴力団・篠宮組々長だった…。ヤクザと警察に負われる羽目になった秀吉は逃げ切ることが出来るのか? とことんツキの無い男・秀吉を高橋克典が演じ、今までのイメージを覆すキャラクターを熱演しています。
ちなみに“誘拐”を題材にした映画に『誘拐犯』(‘00)があります。こちらも主人公が裏社会に生きる顔役の身内の人間を誘拐したために、顔役が繰り出す刺客たちに追い詰められていきます。

『誘拐ラプソディー』では、主人公が満開の桜の下で死を決意するところから物語が始まります。そこで今月は、“桜”にまつわる映画をご紹介します。

桜といえば、やはり散り際の美しさ。そんな美しさが物語にマッチしているのが、『忠臣蔵』(‘58)の浅野内匠頭の切腹シーン。桜が舞い散る中での内匠頭の切腹は、いっそう悲愴感が増します。今更説明の必要がないほど語り継がれてきた作品ですが、市川雷蔵の内匠頭は、歴代忠臣蔵映画の中でも屈指の折り目正しい青年大名振りです。事の発端となった江戸城松の廊下刃傷事件ですが、物語では古くから、勅使饗応役の内匠頭が指南役の吉良上野介から教えを受けられないなどいじめにあったことから刃傷に及んだとされています。しかし、実際は内匠頭の勅使饗応役はこの時二度目の大任であり、饗応役としての教えを受けられなかったことが原因とする説は現在では否定的な意見が多いようです。一方、上野介は地元の愛知県・三河地方では名君とされ、特に上野介のお膝元・吉良町では「忠臣蔵」の上演・上映はご法度であったと三河出身の母から聞いたことがあります。ともあれ、真の原因は謎のままで、そのため創作者にとっては、格好の題材となるのでしょう。

その忠臣蔵外伝ともいうべき作品が『薄桜記』(‘59)。“高田馬場の決闘”で有名な赤穂四十七士の堀部安兵衛が吉良邸への討ち入り直前に回想する形で物語が始まります。高田馬場の一件で知り合った丹下典膳と安兵衛は、決闘の騒ぎを収束するためそれぞれ剣の流派を破門される。安兵衛は、上杉家から仕官の話が上がり、上杉家江戸家老の名代の娘・千春の美貌に心惹かれる。しかし、千春は典膳の許嫁であった…。典膳に市川雷蔵、安兵衛に勝新太郎が扮し、運命に翻弄されながらも、厚い友情と一人の女性への慕情を見事に演じ、格調高い時代劇になっています。桜は出てきませんが、ラストの雪が降りしきる中、隻腕になった典膳が足に銃弾を受けながらも仇を討っていくシーンは、名場面です。

その勝新太郎の代表的作品の一つ「悪名シリーズ」の12作目『悪名桜』(‘66)は、桜まつりの喧嘩のシーンが物語の発端となります。勝の朝吉、田宮二郎の清次の名コンビに市原悦子演ずる朝吉の幼馴染・菊枝が加わり、清次が朝吉と菊枝の仲を誤解して拗ねたり、朝吉が少年の父親代わりになったりと一風変わった作品。堅気として生きようとしたものの、やくざ者として親の死に目に会えなかった朝吉は、ふとしたことから出会った愚連隊の猛を真人間に叩き直そうと決意。しかし、その願いもむなしく、猛は虫けらのように殺されてしまう。堪忍袋の緒が切れた朝吉・清次は、街で対立する二つの暴力団を退治します。

『さくらん』(‘07)は、花の吉原・花魁の世界が舞台。吉原にある「咲かない」と言われた桜が咲いたら花魁の世界から抜け出せると店番の清次と約束したきよ葉は、トップ花魁・粧ひの挑発に乗せられ吉原一の花魁になる決意を固める。愛憎乱れる花魁の世界で、きよ葉は美貌と気性の強さで一躍人気を上げる。独特の世界観を持つ蜷川実花監督が、独自の色彩感覚で今までにない新たな花魁の世界を表現。

今回ご紹介した作品は、全て弊社でDVDを販売しています。花見が出来た方も、出来なかった方も映画の中で桜を愛でてはいかがでしょうか?

誘拐ラプソディー

製作年:2009年

逃げるんじゃない、賭けるんだ。

誘拐犯

製作年:2000年

『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家が仕掛けた新たな罠! 誘拐犯VS殺し屋、怒涛の銃撃戦の果てに生き残るのは誰だ!?

忠臣蔵

製作年:1958年

日本映画界未曾有の豪華配役!赤穂浪士の決定版!堂々三時間一挙上映!

薄桜記

製作年:1959年

武道の意地か、男の友情か、帰らぬ恋の悲憤を秘めて、今ぞ斬る隻腕知心流!

悪名桜

製作年:1966年

少年が殺し屋にされて殺された!
もうひと暴れせんことにゃ、俺たちの血がおさまらん!

さくらん

製作年:2007年

てめぇの人生、てめぇで咲かす
江戸吉原に咲き乱れる“極彩色エンタテインメント”