角川映画オススメシネマ映子の部屋-EIKO's ROOM-

今月のピックアップ・バックナンバー

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第19回「見る前に読むか? 読んでから見るか?」

映画化が待ち望まれていた『沈まぬ太陽』がいよいよ10月24日から公開されます。
原作者は“社会派小説”の巨匠、山崎豊子。彼女の小説は、今までに多くが映像化され、そのどれもがヒット作になっています。映画化の多くは大映が手掛けました。それらの作品の共通点は、舞台が全て大阪! 今月は、山崎豊子原作の映画について、ご紹介いたします。

山崎豊子の代表作の一つと言えば、『白い巨塔』。これまでに何度も映像化され、近年では唐沢寿明主演のドラマがヒットしましたが、初めて映像化した作品は山本薩夫監督による本作です。主役の浪速大学の野心家外科医・財前を演じたのは、田宮二郎。財前と対立する良心的な内科医・里見役に、田村高廣。映画は、財前の教授昇格と誤診裁判である第一審の勝訴、そして里見の辞職で物語は終わります。しかし、映画公開後に続編が執筆され、財前の控訴審での敗訴とガンによる死までが描かれました。田宮は財前の最期までを演じきりたいと願い、昭和53年にフジテレビで念願の全編を描いたドラマが放送されました。末期ガンになった財前を熱演した田宮でしたが、ドラマ撮影終了後の昭和53年12月28日に自殺。放送を2回残して帰らぬ人となりました。しかし、その悲劇的最期から「財前五郎=田宮二郎」として多くの視聴者の記憶に残りました。

『ぼんち』は、市川崑監督と市川雷蔵の黄金コンビにより、大阪船場にある足袋問屋の五代目として生まれた若旦那(ぼんち)の半生を描いています。女にだらしなく頼りにならない男なのに、どこか憎めない“ぼんち”を雷蔵が熱演! 凛々しい時代劇での姿とは異なり、飄々とした姿が拝見できます。こちらは「大雷蔵祭」で上映されますので、お楽しみに!

『女の勲章』は、大阪のファッション界にうごめく女性の欲望と、その欲を利用する野心家の男を描いた作品。キザで色魔の野心家・八代銀四郎役に抜擢された田宮二郎は、ふち無し眼鏡にねちっこい大阪弁を駆使して好演! この作品で一躍スターダムに駆け上がりました。キザでクールな野心家を演じさせたら、田宮二郎の右に出る者なし、と武一は考えます。

『女系家族』は、これまた大阪船場が舞台。三代続いて婿養子を迎えた女系の家筋が続く繊維問屋の婿入り当主・嘉蔵が急死。残された三姉妹は、遺産相続をめぐり醜い争いを起こすが、そこに亡き嘉蔵の子を宿した愛人や大番頭、果ては長女の愛人(またしても田宮二郎好演)をも巻き込んで紛争は一層複雑化していきます。しかし、ラストで嘉蔵が遺したものが意外などんでん返しを生みます。曲者の大番頭を演じる、二代目・中村鴈治郎の“聞こえないフリ”演技は絶品です。私、武一も“聞こえないフリ”をしなければならぬ、のっぴきならない状況に陥った時に参考にしてみたいです。

今月ご紹介の4作品は、全て文庫化、DVD化されています。また、この他にも、木村拓哉の主演で話題になった『華麗なる一族』や、10月に唐沢寿明主演でドラマ化される『不毛地帯』も映画化されています。
原作を先に読むも良し、映画を先に見るも良し。色々な楽しみ方がありますので、是非この機会にご覧ください。

沈まぬ太陽

製作年:2009年

600万部突破の映像化不可能といわれた国民的作家・山崎豊子の不朽の名作が、遂に映像化。

白い巨塔

製作年:1966年

誤診という名の殺人! 人の命を救うはずのメスが、野望のためにみがかれる!
謀略が渦巻き、欲望がおどる、日本医学界の内幕!轟然たる反響を呼んだ問題小説を最高のスタッフ・キャストで映画化!
患者の命より名誉と権威が優先す!恐るべき医学界の裏面を鋭くえぐる2時間30分!
田宮二郎主演、医学界の腐敗を暴いた巨匠・山本薩夫の渾身の大作!

ぼんち

製作年:1960年

放蕩の限りをつくしてもその底にぴしりと帳尻の合った遊び方をする…それを大阪ではぼんちと呼ぶ!

大雷蔵祭

製作年:

史上最大!100作品を一挙上映!
5年ぶりに、市川雷蔵がスクリーンに登場!

女の勲章

製作年:1961年

美しく装い、虚栄に泣き、名声を争う女の園
欲望の素肌を策謀の毛皮でくるみ、ファッション界の王座を競う女の戦い!

女系家族

製作年:1963年

女の心に渦巻く嫉妬と欲望!男の思いも及ばぬ残酷さを描く文芸大作