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今月のピックアップ・バックナンバー

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第17回「永遠の二枚目時代劇スター・市川雷蔵 (地の巻)」

8月29日は、市川雷蔵の生誕日に当たります。ご存命であれば、78歳。老成された演技も拝見したかったです…。

雷サマは、お亡くなりになった1969年に2本の作品に出演されました。『眠狂四郎悪女狩り』と遺作となった『博徒一代 血祭り不動』です。
『眠狂四郎悪女狩り』(監督・池広一夫、脚本・高岩肇 宮川一郎)では、「今まで狂四郎が何人いようとも構わぬと思っていたが、その了見が変った。狂四郎はやはり一人でならねばならぬ」(本編より引用)とその後のご自身の運命を思わせる、忘れられない台詞を語り、万人に“眠狂四郎役に、市川雷蔵の右に出る者なし”というイメージを永遠に植えつけました。
遺作となった『博徒一代 血祭り不動』は任侠モノ。時代劇スターであった雷サマの遺作が任侠モノというのはちょっと寂しいですが、病魔をおして映画出演されたのも、雷サマの役者としての高いプロ意識を象徴するエピソードだと思います。

武一がイチバンお薦めする雷サマ作品は、『手討』。この作品は、「1ま〜い、2ま〜い」でお馴染みの岡本綺堂原作の「番町皿屋敷」を“純愛モノ”に大胆にアレンジ。雷サマ演じる旗本・青山播磨と、藤由紀子(後の、故・田宮二郎夫人)演じる腰元・お菊は、人目を忍びながら愛し合う仲。身分の違う二人だが、播磨は「旗本の地位を捨ててもお前と添い遂げよう」とお菊に誓います。そんな中、徳川政権も磐石の体制を築きつつあり、旗本は疎んじられていきます。旗本・白柄組は、外様大名の厚遇が気に入らず、大名を挑発します。彼らの対立に巻き込まれ、その収拾に奔走する播磨。そんな中、お菊は小さな誤解から播磨の愛を疑い、青山家が徳川家康から拝領した家宝“高麗皿”を故意に割ってしまいます。オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」とは真逆の展開です。この後、二人は悲しい恋の決着を付けます。不詳、武一はこの作品を劇場で観て号泣しました。ええ、その場もはばからず大泣きです。暫く席を立てませんでした。私の中での純愛映画ベストワンです。是非、皆様にもご覧頂きたい作品です。

上記作品中、DVD化されている作品は『眠狂四郎悪女狩り』だけになりますが(『博徒一代 血祭り不動』2009年12月25日(金)DVD発売決定!)、前回にお知らせした、市川雷蔵映画祭『大雷蔵祭』の開催が決定しています。上映作品は現在未定ですが(上記作品含めて未定です)、詳細は追ってお知らせいたします。こまめに特設サイトをチェックしてみてください。

眠狂四郎 悪女狩り

製作年:1969年

不義、私刑、同性愛… 情欲渦巻く“大奥”に円月殺法只今推参!

博徒一代 血祭り不動

製作年:1969年

お命いただきます!
義理か、恩義か二つに一つ!厳しい渡世に命をかけて
激しく揺れる男の激情!
不世出の大スタァ・市川雷蔵の遺作

手討

製作年:1963年

武門の意地か、恋の恨みか、愛する女を斬らねばならぬ男の哀切を描いて鮮烈!
お菊と播磨の美しくも哀しい悲恋物語