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今月のピックアップ・バックナンバー

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第16回「永遠の二枚目時代劇スター・市川雷蔵(天の巻)」

7月17日は、邦画ファンにとっては特別な日だと思います。戦後の映画界を代表するスター、市川雷蔵と石原裕次郎の命日に当たります。今回と次号で市川雷蔵(以下、“雷サマ”:呼び方「らいさま」)について特集いたします。

梨園の生まれではなかった市川雷蔵(以下、“雷サマ”:呼び方「らいさま」)は、その実力と違い役に恵まれず、歌舞伎界に見切りをつけ、今から55年前の1954年8月25日公開の『花の白虎隊』で主演という形で、映画デビューしました。後に好敵手(とも)となり、“カツライス”と呼ばれた2本立て興行が大ヒットした勝新太郎(以下、“カツシン”)も同作でデビューしています。雷サマはデビュー作からハイヤーでの送り迎えの厚遇。対するカツシンは、大部屋俳優と共にバス移動。この悔しさから、自前でハイヤーを用意して、「何時の日か、雷蔵を抜く」と決意したそうです。とは言え、この二人はけして仲は悪くなく、お互い実力を認め切磋琢磨し、大映の屋台骨を支えあっていきます。ちなみにこの作品の武一の感想は、「秀才・雷サマ」に対し「天才・カツシン」というものです。

雷サマは、映画界に入ってからお亡くなりになるまでの約15年間に、158本の映画に出演したと言われていましたが、昨年新たに159本目の出演作品が判明しました。土井 茂監督のデビュー作『おてもやん』。という作品で、雷サマは終盤の祭りのシーンで太鼓を叩く若衆としてカメオ出演しております(ほんの一瞬ですが…)。
他にも雷サマは同年代の助監督やスタッフとの交流を大切にされた方で、親しい助監督の方が監督デビューする時に、ご祝儀で友情出演されています。田中徳三監督のデビュー作『化け猫御用だ』、井上 昭監督のデビュー作『幽霊小判』、池広一夫監督のデビュー作『薔薇大名』でカメオ出演されています。日本映画全盛期に、こうした形での利得の無い友情出演は極めて異例なこと。田中徳三監督は撮影所所長から「スターの雷蔵をあんな使い方しおって!」と怒られたそうです。現場スタッフを大切にされた雷サマらしい、ほほえましいエピソードです。

上記作品中、DVD化されている作品は残念ながらございません。

しかし、今年の秋、市川雷蔵映画祭『大雷蔵祭』の開催が決定しました。上映作品はまだ未定ですが(上記作品含めて未定です)、詳細は追ってお知らせいたします。こまめに特設サイトをチェックしてみてください。

次回は雷サマの遺作と、武一がおススメする作品を紹介する「永遠の二枚目時代劇スター・市川雷蔵 (地の巻)」、乞うご期待!

花の白虎隊

製作年:1954年

「死なばもろとも誓いも悲し、会津乙女の黒髪を、肌にしっかり抱きしめて、飯盛山の露と消ゆ、あゝ紅顔の白虎隊!」
戦後邦画界を代表する伝説的スター、市川雷蔵と勝新太郎の衝撃デビュー作!

おてもやん

製作年:1961年

「乙女が唄うあの歌が、勤皇志士の合言葉! 今宵斬り込む熊本城下!」
幻の市川雷蔵友情出演作!

化け猫御用だ

製作年:1958年

「一度は腰を抜かした化け猫に、自分自身がなろうとは……。ふるえながら笑わせずにはおられない捕物喜劇!
大映のアルチザン、田中徳三監督のデビュー作!

幽霊小判

製作年:1960年

「ギョッとする怪奇、アッという結末! 笑いも凍る時代スリラー!」
溝口健二監督・森一生監督に師事した、井上昭監督のデビュー作!
主演は「仮面ライダー」でブラック将軍を演じた、丹羽又三郎!

薔薇大名

製作年:1960年

「あっしは大名! 拙者は奇術師! すり変って剣陣突破! からみもつれて痛快無頼!」
『眠狂四郎女妖剣』などケレン味あふれる演出で評価が高い、池広一夫の監督デビュー作!