角川映画オススメシネマ映子の部屋-EIKO's ROOM-

今月のピックアップ

第67回「デビュー70周年企画「京マチ子映画祭」 おススメ作品」

今年でスクリーンデビュー70年を迎えた京マチ子さんを記念した「京マチ子映画祭」が2月23日から角川シネマ新宿で上映開始いたします(順次全国上映する予定です)。京さんは1936年に大阪松竹少女歌劇団に入団、44年の『天狗倒し』で映画初出演。49年に大映に入社し、同年『最後に笑う男』が入社第1回作品になります。『羅生門』(’50)で“グランプリ女優”として一躍トップ映画スターとして駆け上がります。『雨月物語』(’53)も国際映画祭で受賞し、国際女優としての地位も固めました。大映倒産後は大映テレビに所属、映画・テレビ・舞台と活躍しています。そんな京さんの“本当の私を教えてあげましょう。”とばかりの作品の中から特におススメする作品を紹介いたします。

利一が一番おススメしたい作品は『お傳地獄』(’60)。明治初期、実際に起こった「毒婦・高橋お伝事件」を基にした映画です。戦前には度々映画化される程、センセーショナルな事件でした。この作品では、お伝を単なる毒婦とは描かず、不遇な環境を抜け出して幸せをつかもうとするも男の身勝手さにもがき、人生を狂わされる女性として描いています。そのお伝を、京さんが鬼気迫る演技で観客の心を鷲掴みにするでしょう。因みに、お伝は両国・回向院で鼠小僧次郎吉のお墓の傍に埋葬されています。

『有楽町で逢いましょう』(’58)は音楽映画の第一人者・島耕二監督が手掛け、そごうデパート(現:角川シネマ有楽町も入る読売会館)を舞台にした作品。京さんは勝気な性格だがフランス帰りで新進デザイナーの主人公・亜矢を演じます。菅原謙二(菅原謙次)演じる朴念仁の建築技師・篠原との恋、そこに亜矢の弟・武志(川口浩)と篠原の妹・加奈(野添ひとみ)の恋も絡んで一波乱! そごうデパートで武志を待つ加奈のバックにかかるフランク永井の名曲「有楽町で逢いましょう」は思わず口ずさみたくなるのが必定。

女性を描いて当代一といわれる吉村公三郎監督作から2作品を紹介。観劇後は会館内をぶらついてみください。
先ずは『夜の素顔』(’58)。京さんは野心的な女性舞踊家・朱実を演じます。朱実は山村流家元・小村に泣きつき弟子となったものの色仕掛けと智謀を武器に師匠にとって代わろうとします。やがて自分の流派を起ち上げ、舞踊界の頂点を目指そうとする。しかし、若尾文子演じる内弟子・比佐子が朱実と同じ手口を使って、朱実の地位を虎視眈眈と狙う…。女性の魅力・本質を見事に描いています。

続いて『女の勲章』(’61)は山崎豊子原作で大阪のファッション界を舞台にして、女性の虚栄心・野心・名誉心を余すところなく描いた作品で、田宮二郎の出世作としても知られます。大阪船場出身のお嬢様・式子(京)は洋裁教室を開き、それを手広くしようと考えていた。そこに野心家・銀四郎(田宮)が相談に乗り、服飾学院開校までこぎ着けた。式子には有望な三人の弟子、倫子(若尾文子)・かつ美(叶順子)・富枝(中村珠緒)がいた。銀四郎は式子のみならず、三人の弟子とも関係を結び、止まらぬ事業欲に燃えていた。全てを知った式子は銀四郎と別れようとするが、銀四郎は謝るどころか更なる野心を抱く…。銀四郎の色魔っぷりは出色です。

『女系家族』(’63)も山崎豊子原作作品。テレビドラマ化も数多くされているのでご存知の方も多いでしょう。船場の繊維問屋・矢島商店は三代にわたって世継ぎ娘に婿養子を迎えた女系の家筋であった。現当主・嘉蔵は三人の娘を残し、大番頭・宇市(二代目中村鴈治郎)に後事を託して急死した。長女で離婚して生家に戻った藤代(京)、次女で婿養子を迎えた千寿(鳳八千代)、三女で高校を卒業し花嫁修業に余念のない雛子(高田美和)は、それぞれ後ろ盾を得て遺産相続を争う。しかし、そこに嘉蔵の愛人・文乃(若尾)が現れ、騒動は更に広がる。一筋縄でいかぬ宇市や、藤代の踊りの師匠・梅村(田宮)が暗躍し、この騒動はどうなるのか? 二代目中村鴈治郎のとぼけっぷりに笑いがこらえられません。「えっ?」と言いながら耳に手を当てる仕草は真似したくなることでしょう。

今回ご紹介した作品は、「京マチ子映画祭」で上映されます。上映スケジュールはこちらでご確認ください。

お傳地獄

製作年:1960年

夫を殺してまで、女の倖せが欲しい! 奔放な官能の地獄肌!

痴人の愛 [1949]

製作年:1949年

文豪・大谷崎が日本分断に打ち建てた肉体文学の絶品、全日本の視聴を集めて遂に映画化!

有楽町で逢いましょう

製作年:1958年

有楽町で逢い、道頓堀で恋を知る!若き哀歓をかなでる総天然色の恋愛大作!

夜の素顔

製作年:1958年

恋か、虚栄か、名声か、金色の衣裳に身体を張って、激しく競う二人の女………

女の勲章

製作年:1961年

美しく装い、虚栄に泣き、名声を争う女の園欲望の素肌を策謀の毛皮でくるみ、ファッション界の王座を競う女の戦い!

女系家族

製作年:1963年

女の心に渦巻く嫉妬と欲望!男の思いも及ばぬ残酷さを描く文芸大作

羅生門 デジタル完全版

製作年:1950年

映画史上に燦然と輝く日本映画の至宝! 黒澤明監督の代表作私はこの映画でムツカシイことを言おうとしているのではありません…。どうかこの映画をムツカシク見ていただかない事を希望します。                                  1950年 黒澤 明

雨月物語

製作年:1953年

幻想と幽艶に彩られて花ひらく映画美の極致!世界映画史上に不滅の光芒を放つ、日本の生んだ名監督溝口健二の傑作!

映子の本棚(書籍紹介)

大映特撮映画大全
大怪獣空想決戦 ガメラ対大魔神

ガメラも大魔神も妖怪も!みんな大好き大映映画!!
日本映画の一時代を築いた、大映映画の「特撮」と「ファンタジー」の魅力を網羅した一冊。
『大魔神』シリーズ、『ガメラ』シリーズ、『妖怪』シリーズなど各作品への豪華執筆陣の寄稿は超貴重!秘蔵スチルも収録!

掲載された作品 『大魔神』シリーズ、『ガメラ』シリーズ、『妖怪』シリーズ
出版社 角川書店 発売日 2010/07/16
著者名 監修:角川映画
価格 1,890円(税込) ISBNコード 978-4-04-854511-2-C0076
詳細 http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_detail.php?pcd=201004000043

雷蔵の色

今なお不動の人気を誇る市川雷蔵のすべてを、斬新な役者論、映画論、時代論で描き切る決定版。
写真、口絵ポスター満載!

掲載された作品 『若き日の信長』『かげろう絵図』『安珍と清姫』『新忍びの者』
出版社 河出書房新社 発売日 2009/07/13
著者名 村松友視
価格 1,680円(税込) ISBNコード 978-4-309-01926-0
詳細 http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309019260

日本の美100

25人が選ぶ日本の美100 美の在処を巡って 対談 高橋睦郎×池内紀

掲載された作品 『雨月物語』『お遊さま』『祗園囃子』
出版社 平凡社 発売日 2008/10/24
著者名 梅原猛 磯崎新 横尾忠則ほか
価格 1,890円(税込) ISBNコード 978-4-582-63441-9
詳細 http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/viewer.cgi?page=browse&code=634041

市川崑大全

金田一シリーズ!木枯し紋次郎!東京オリンピック!
ミステリものの名手か?文芸映画の王様か?テクニックの天才か!?
国民的巨匠の表と裏のすべてがこの一冊で分かる!!
(石坂浩二、中村敦夫、岩井俊二ほか関係者証言&フィルモグラフィー完全収録!!)

掲載された作品 『犬神家の一族』
出版社 洋泉社 発売日 2008/12/03
著者名 映画秘宝編集部・編
価格 1,785円(税込) ISBNコード 978-4-86248-339-3
詳細 http://www.yosensha.co.jp/book/b2445.html

大魔神の精神史

放映から40年を経て、謎はいま解き明かされる!甦る大魔神の世界!!

なぜ大魔神は埴輪なのか?なぜ乙女の涙は必要なのか?なぜ大魔神は剣を抜いたのか?
筒井康隆による幻の第四作とは?『モスラの精神史』の著者が、再び日本の文化イコンの謎を一挙解明!! 大魔神から日本が見える!

掲載された作品 『大魔神』シリーズ
出版社 角川書店 発売日 2010/08/10
著者名 小野俊太郎
価格 800円(税込) ISBNコード  
詳細 http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201004000221