ターネーションTARNATION

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100を超える全米映画評論家が2004年ベスト10に選んだ感動作「エレファント」のガス・ヴァン・サントと、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェルを涙させた新たな才能

Introduction -プロダクションノート-

※プロダクションノートをより分かり易く読み進めるために*項目のどこからでもお読みになれます。
また、関連ごとに読み進める指標として、各項目の文末に「→C」などジャンプ先が示してあります。


A 【ターネーション/TARNATION】

それが意味するものとは、「天罰」「破滅」「地獄に落ちる」「永遠の断罪」。これは31才になるまでジョナサンが辿ってきた人生の軌跡。母の愛情と精神病の板挟みに合い、ゲイであるセクシャリティと愛情、アメリカの家族のあり方、蓄積してきた自身のカルチャー史の集大成なのだ。真実のドキュメンタリーはどんなフィクションよりも強く心を動かす。
「…僕は一体、何をしたから、こんな人生、こんな苦しみ、こんな報いを受けるのだろう。自ら選んだものではないのに、ただ手放しで引き受けるしかない人生。なのに、僕はそれでも母に、自分に愛情を与え続ける。母親の精神病、家族の呪縛、それに僕にも精神的な問題が表れ始めた…。それでも僕は真実を見つめようと思う。僕の膨大な個人史と共に、愛する母レニーへのラブレターとして」→Cへ

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B 【人の頭の中に入ること】

スパイク・ジョーンズの「マルコヴィッチの穴」で俳優マルコヴィッチの、ミシェル・ゴンドリーの「エターナル・サンシャイン」でジム・キャリーの頭の中に入り込んだのは脚本家チャーリー・カウフマンと監督スパイク・ジョーンズだが、彗星の如く映画界に登場したジョナサン・カウエットは、ドキュメンタリーという手法を用いて、本人曰く「自分の頭の中へ観客を迎え入れる」独特の映画体験をもたらしてくれる。
それは時に眩いほど美しく、時に目を背けたくなるほどの苦痛を疑似体験することになるが、その全てが彼にとってはリアルな現実であり、無理に美化することもないまま、11才頃からの圧倒的な自分史の集積を披露する。→C、Iへ

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C 【パーソナル・ムービー=偽りのない膨大な個人史】

ジョナサンは自我を守るために、幼い頃より膨大な情報のコレクターと化し、皮肉にも、その溜め込んできた映像がこのような映画を可能にした。
家族の記念写真から家庭用スーパー8フィルム、留守番電話のメッセージに、ビデオ日記など様々なフォーマットのビデオテープ、11才からの自主短編映画(「Hospital」)、80年代ポップ・カルチャーの映像や切り抜きなど、蓄積してきた膨大なデータを映画として再編集すると共に、自分と家族の問題を全て曝け出した、痛いほどパーソナルで詩的な映画となった。

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D 【超低予算!伝説の製作費$218.32】

ジョナサンがこの映画のオリジナル・バージョンをたった$218.32で完成させたのは今や伝説だが、それは元々ボーイフレンドが購入したマッキントッシュに付いてきた簡単な映画編集ソフト、iMovieを駆使して、自分や母親の周囲を収めてきた膨大な素材を、MIX映画祭に間に合わせる目的で編集したもの。
もちろん、その後、サンダンス映画祭へ出品するために、ジョン・キャメロン・ミッチェルや共同編集のブライアン・A・ケイツの協力を得た88分の最終バージョンを完成させる前の数字ではあるが、個人の家庭用ツールでここまでできるようになった時代を象徴する作品でもある。その後、カンヌ映画祭にも出品されるなど、彼の周りの人脈によって新たな物語が加速し始める。→Eへ

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E 【超強力サポーター/エグゼクティブ・プロデューサー】

ニューヨークは五番街の宝石店でドアマンとして働きながら、ミュージカルやアングラ映画に憧れて俳優を目指していたジョナサンは、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェルの新作映画「SHORTBUS」のオーディションを受けた際、オーディション・テープに編集中の作品の一部を入れておいた。才能を感じたミッチェルは完成させるよう助言し、その後、母親のリチウム中毒をきっかけに更に編集される作品を、エグゼクティブ・プロデューサーとして見守っていく。
またミッチェルはガス・ヴァン・サントにも作品を見せ、彼もエグゼクティブ・プロデューサーとして参加することを促し、資金集めという意味でも、2人の名前は大きく貢献することに。映画批評家ロジャー・エバートもまた、イリノイ州で自身が企画する映画祭、エバートフェストに作品を招待するなどサポートに回った。

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F 【ガス・ヴァン・サント(エグゼクティブ・プロデューサー)のコメント】
最高に素晴らしい、ショッキングな自伝的ドキュメンタリー

「ジョナサン・カウエットは、iMovieというとても基本的な技術を用いて、僕が今まで観たドキュメンタリーの中でも最高の作品たちと並ぶか、それらを超えてしまうほどの映画を作り上げてしまった。彼のような少ない予算でこれほど感動的な作品を誰かが作るのを僕は待っていたような気がする。いつかこういうものが出てくるとは信じていたけど、ようやくその時が来て嬉しいよ」

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G 【ジョン・キャメロン・ミッチェル(エグゼクティブ・プロデューサー)のコメント】
アウトサイダー・アートの最初の映画傑作

「『ターネーション』は、もうずっと手軽な新テクノロジーの約束を証明してくれる映画だ。つまりアウトサイダー・アートの最初の映画傑作だ。音楽、文章、ヴィジュアル・アートの世界ではずっと可能だったものが、今ようやく映画でそれが可能になったんだ」

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H 【スティーヴン・ウィンター(プロデューサー)のコメント】

DIYな映画作りへの新たなリスペクトと興味が生まれる

「『ターネーション』が、DIY(Do it yourself)な映画作りへの新たなリスペクトと興味が生まれることを願っているし、未だ認知されていない才能にエンタテインメント産業は目を向けるはず。家庭用のパソコンを使って安価に作品を作る、自分の声を世に出したいと願う、モチベーションの高い、才能豊かな人たちはまだまだたくさんいるはずだから」

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I 【ドキュメンタリー映画の新時代が到来】

マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」以降、ドキュメンタリー映画の認知度は格段に上がったが、その傾向として、事実を伝える前提のジャーナリズムの手法よりは、既に存在する映像素材などを用いながら、より個人的な視点を盛り込んだ新しい“物語”を構築しようとするものが多い。「ターネーション」は膨大な自分の過去の情報を用い、自身の人生を浮き彫りにするという意味でも、ドキュメンタリー映画の新時代の到来を告げる。第三者的な視点から、よりパーソナルな視点へ。物語の構造が今、大きく変わり始めている。→Cへ

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