NEWS
Story -ストーリー-
もう離れない。だからやるのよ。
終わったら車で来て。私は隣に乗る。
そしてずっと一緒。ずっと一緒。
「もう耐えられない。愛してる。」「僕も愛してる。」「もう離れられない。だからやるのよ。」
携帯電話で会話する男女。女は港を見下ろすホテルの一室にいる。男は埠頭に止めたオープンカーの中。大佐と呼ばれる黒人が埠頭に現れ、「魔女からのプレゼントだ」と、男に拳銃の入った箱を渡す。女の名前は、手都芽衣子(てと・めいこ)。大手企業・手都グループを率いる手都会長の年若い妻だ。男は、時籐隆彦(ときとう・たかひこ)。手都グループ傘下の国際医療ボランティア機構の主任医師。今日の夕方、時籐が手都会長を殺し、2人で逃げる計画だ。国防長官の来日により横浜の街は交通規制が敷かれ、人も車もいなくなる。手都会長は、上海に発つまでの間、手都ビルにひとり残ることになっている。絶好のチャンスだ。
手都ビルの5階にある自分のオフィスに戻った時籐は、秘書に「書類を作るからしばらく電話を繋がないでくれ」と言って、部屋に鍵を閉める。ベランダから6階にロープを渡して上がり、会長室に行く。任務を終えて5階のベランダに降りるが、ロープを外すのに手間取る。しかし、結局ロープをベランダに残したままオフィスに戻った時籐は、秘書とともに手都ビルを出る。
同じ頃、手都ビルの近くで、若い警官がチンピラたちと喧嘩になり、ピストルを盗まれる。このキレやすい警官、赤城邦衛(あかぎ・くにえ)が路地裏でうずくまっているのを、恋人、松本美加代が見つける。美加代は美容師で、時籐は彼女の顧客だ。赤城は、さっきのチンピラたちがボスらしき男に駐車場で叱られているのを見つける。そのそばにいる女に目を止めた赤城の表情が、さっと変わる。
時籐は、車をビルの横手に止め、慌ててエレベーターに乗り込む。ロープを外して再びエレベーターで下に向かったとき、突然、エレベーターが止まり、闇に包まれる。週末は5時半にビルの主電源が落とされるのだった。
チンピラたちのボスは、広域暴力団の組長、神健太郎(じん・けんたろう)。神は、手都会長と数々の悪事をともにした仲だった。神と女の乗った車が駐車場を出て行くと、赤城は近くに止まっていたアルファロメオのオープンカーに乗り、美加代も助手席に座る。
その頃、芽衣子はカフェで時藤を待ちわびていた。と、目の前を時籐のアルファロメオが通る。助手席には若い女がいた。芽衣子は疑心暗鬼でいっぱいになりながら、赤いコートをひるがえして、夕闇迫る街をさまよう。
時籐は、エレベーターの床の小窓からシャフトへ決死の脱出を試みていた。突然、電源が入ってエレベーターが動き、すぐに止まる。エレベーター内に戻るしかない。
赤城と神、2組の男女は、箱根のコテージに到着。チェックインの際、美加代は時籐の名前をかたる。神の情婦、朔美は、かつて赤城の恋人だった。朔美の挑発を真に受けた赤城は、神にピストルを向け、激昂した朔美も撃ち殺してしまう。
翌朝、箱根殺人事件の容疑がかかった時籐の捜査のため、刑事たちが手都ビルに駆けつけ、エレベーターが動く。時籐は刑事たちと入れ違いにビルから出て行くが、すでに事件は大々的に報じられていた。間もなく刑事たちは手都会長の死体を見つけることになる。アリバイのない時籐は、すべての罪を一身に背負うことになるのだろうか。はたして芽衣子の運命は、どうなるのだろうか?

