Introduction -プロダクションノート-

構想12年、総撮影時間2,000時間
――「信頼」と「誇り」が生み出した、ドラマを超えた超ドラマ

「WATARIDORI」、「ディープ・ブルー」、「皇帝ペンギン」といったネイチャードキュメントがすっかり定着し大ヒットを記録する中、その究極の形ともいえるドラマが「MASAI」だ。
構想12年、総撮影時間2,000時間。ドキュメンタリーの枠を超え、ノンフィクションよりもリアルなドラマを描き出した“ドラマを超えた超ドラマ”と呼ぶべき本作は、アフリカで12年以上にわたって様々なドキュメンタリー作品を生み出してきたパスカル・プリッソン監督だからこそ実現した企画である。
マサイの文化にも精通し、何年も共に仕事をしてきたプリッソン監督は、マサイの人々から絶大な信頼を得ている。互いのことを理解していたために、簡単な合図とジェスチャーだけで意思の疎通ができ、役者としてのマサイ族の姿を見ることができたのである。契約書など意味を持たない彼らの世界でこの映画が完成したのは、ひとえにプリッソン監督とマサイの人々の“信頼”があったからだ。

マサイ マサイ

映画史上初! マサイ族主演、全編マサイ語による壮大なドラマの裏側

マサイを主人公にした全編マサイ語の映画、という前代未聞の試みの最大の挑戦となったのがマサイの人たちへの演技指導だった。
元来、「弱者」という概念が存在しないマサイの戦士たちに「弱者」を演じるように説得するのは至難の技であり、彼らに対してあくまで演じるのは想像上の人物であるということを説明する作業は困難を極めた。
その一方で、監督は撮影をするフランス人による製作チームにも、マサイを普通の役者たちのように扱ってはいけない、と何度も言い聞かせる必要があった。
マサイは戦士であって、プロの役者ではない。西洋スタイルの撮影のペースを彼らに強要したり、敬意を払うのを忘れたりすれば、彼らはすぐにセットから立ち去ってしまうことを全員に理解させなくてはならなかったのだ。

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マサイの人々の驚くべき才能と監督の細かい気配り

監督は毎夕、彼らのところに行ってはセリフの確認と、彼らがリラックスできているか確認し、2,000時間にわたる撮影中も、彼らが疲労困憊してしまわないように注意を払い、撮影終了後も彼らの様子を見に行くほどの配慮を覗かせている。
そんな監督の奮闘に答えるかのように、マサイは驚くべき速さで様々な撮影プロセスを習得していった。読み書きができない分、心でセリフを理解する彼らの姿勢はスタッフたちに「マサイの“役者”たちほど演技を理解している役者に会ったことがない」と言わしめたほどだった。
さらにはマサイの気質も映画製作に大きく役立っている。非常に自己愛が強く、注目を浴びることに喜びを感じるマサイには“恥ずかしい”という概念は存在しないため、彼らはどんな時でも自然体で、とてつもなく熱心に演技に励んだ。こうした相互の努力が実り、最終的にはマサイの人々も今回の経験を「驚くべき経験だった」と語った。
貨幣が存在しないマサイへは、ギャランティーとして彼らが最も貴重なものとしている牛が贈られた。

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偉大なる自然と神が作り出した、最も美しい創造物といわれるマサイの人々を捉えた芸術的カメラワーク

黄金色に輝くサバンナの草原、突き抜けるような青い空、水の恵みによってもたらされる美しいオアシス――様々な表情を見せるアフリカの大地は、この映画のもうひとりの主人公としての役割を果たしている。
ケニアからタンザニアにかけ、ヴィチュアのたてがみを求めて前進する若き戦士たちの前に広がる乾いた大地や、彼らの背後を移動していく野生の動物たちの姿はアフリカでなければ決して実現しない貴重な背景。CGや視覚効果では表現できない臨場感と自然の雄大さは、戦士たちの旅路の過酷さをより一層引き立たせる効果を発揮している。
「各シーンが美しい絵画のようだ」と監督が語るように、何色にも色を変える自然の姿や、美しいマサイの戦士たちの肢体や動作が、各シーンに芸術的な情感を醸し出す。さらに、映画のハイライトとなるヴィチュアとの戦いのシーンには、神話的、伝説的な雰囲気を出すために毎秒8コマの撮影方法がとられ、神秘的な演出が施されている。

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