旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

DVD、ブルーレイ好評発売中!
DVD好評レンタル中!

「寝ずの番」「次郎長三国志」に続くマキノ雅彦監督第3作!
あの感動のサクセスストーリーが遂に初・映画化!!

NEWS

Introduction -プロダクションノート-

「ヨチヨチ歩く姿しか見たことのなかったペンギンが、
                       本当に空を飛んでいました!」

前田愛さんスペシャルインタビュー!
「旭山動物園物語〜ペンギンが空をとぶ〜」

――『旭山動物園物語』を観た感想を教えていただけますか?

実際に旭山動物園を訪れた時と、同じような気持ちになりました。完成した映像ではじめて見る動物の姿も多かったので、「こんなカットも撮ってたんだ!」と驚いたり。それに、動物達が本当に生き生きと動き回っていたので、改めて感動しました。
そんな時は動物に合わせて、すぐにお芝居しなきゃいけなかったので、いつも緊張していましたね。

――動物と一緒の場面は、どのように撮影したんですか?

動物は、役者と違ってどう動くか予想がつきません。だから撮影の時は、役者のタイミングより、動物の動きが優先されるんです。「動物の動きがいいから、今、(カメラを)まわすね!」っていう監督のひと言で、突然、撮影がはじまることも。

――動物園での撮影はいかがでしたか?

空き時間があると、出演者の皆さんが自分の好きな動物を見にいったりもしていたんです。みんな子供みたいに、楽しそうにしてました(笑)。
「あぁ、こういう“動物を見て楽しい”っていう純粋な想いが、この映画を作るパワーになったのかもなー」なんて、感慨に浸ることも(笑)。とにかく、毎日が楽しかったです。

――動物とは仲良くなれましたか?

帯広にいたピリカという名前のシロクマのことは、とくに覚えています。まだ3歳くらいだったかな? 映画には登場してはいないのですが、帯広の動物園にあった控え室の前に、ピリカがいたので、いつも朝、現場に入ると”おはよ!”と挨拶しに行ってました。私がピリカに近づくと「こんな事ができるんだぞ!」って言ってるみたいに、ゴロゴロ寝そべってアピールしたり、すごくかわいいんですよ(笑)。また会いに行きたいですね。

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ 旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

――前田さんが演じた“小川真琴”は、どういう女性なのでしょうか?

自分の気持ちに忠実で、パワフルな人。すっごく喜んだり、すっごく悲しんだりと、感情の表現も激しかったです。私自身は、彼女のように感情を表に出す方ではないので、自分とは、違うタイプですね。
お芝居をする時は、監督にどう表現すればよいか、お話を聞きながら演技しました。マキノ監督が、他の監督と違う点は、イメージを具体化してくれること。言葉のニュアンスだけでは伝わりにくい点も、監督自身が演じて見せてくださるんです。だから、私はそれを見て「少しでも近づけるようにがんばります!」と(笑)。
何が求められているかがはっきりと解ったので、迷いなく演技できたという意味で、これまでとは全く違った経験ができました。

――お気に入りのシーンを教えていただけますか?

一番、感動したのは、ペンギンが空をとぶシーン!「ペンギンを飛ばします!」と宣言するシーンの後に、水中トンネルをペンギンが泳ぐんですが、本当に、空を飛んでいるように見えました。
実際に、旭山動物園でも水中トンネルを見学したんですが、やっぱり映画と同じように、ペンギンがシュンシュンと空を飛んでいて。それまでは、ヨチヨチ歩くペンギンの姿しか見たことがなかったので、その速さに「すごい! すごーい!」と興奮しきりでしたね(笑)。

――最後に、映画を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

動物たちの珍しい姿や豊かな表現が楽しめる作品です。ドキドキ、ワクワクするシーンがたくさん詰まっています、ぜひ見にきてください!


旭山動物園・小菅正夫園長インタビュー!
「動物が身近にいることで、人間が人間であることを理解できる。そうして動物園は“人”を育てるんです。」

――映画の感想を教えていただけますか?
それを言葉にするのは、なかなか難しい。作品を客観的に見ることができないからです。この映画を観ていると、私がまるで西田さんの中に入っているような気分になる。作品で描かれているエピソードの多くが、事実に基づいているので、昔の記憶が蘇えってくるんです。西田さんが腹を立てているシーンは、一緒になって熱くなりましたし……当時の気持ちが思い出されて、なかなか冷静に観ることができませんでしたね。

――マキノ監督とは撮影に入る前にないかお話をされたんですか?
最初に監督とお会いしたのは、マキノ監督が園長役を演じていたTVドラマ(※『奇跡の動物園〜旭山動物園物語〜』フジテレビ系列で放映された)の撮影の最中でした。私のところに挨拶にいらっしゃったんですが、その時に、旭山動物園を映画化したいとおっしゃって。TVドラマの最中だったのにね(笑)。

――という事は、映画用に創作されたエピソードが多いのでしょうか?
と、思うでしょう? ところが監督は、私や旭山動物園に関わったスタッフから話を聞きたいとも言うんです。だから私は当時の仲間を呼び集めて、監督に一回6・7時間ずつ何回も、昔の出来事をお話しました。その他にも、監督が突然、私の嫁さんを訪ねてきて、当時の話を聞いていったことも(笑)。そんな風に、監督は“真実”を集めていったんです。映画を“嘘”だと言っていたにもかかわらず、あれほど本物にこだわる人は、なかなかいないと思います。

――まるでドキュメンタリーのようですね
まさにその通り!動物の撮影の時も、思い通りのシーンが撮れるまで、監督は何時間も待っていましたからね。たとえば、昔、旭山動物園にいたゾウが、私によく雪玉をぶつけてきた……という話を監督にすると、そのシーンをぜひ撮りたいとおっしゃって。とは言え、動物園の動物は野生動物と同じですから、人間が望むように動くはずがない。しかし不思議なことに、監督がじーっとカメラを構えて待っていると、ゾウが雪玉を投げたんですね。そういう奇跡のようなシーンが、この映画にはたくさんあるんです。

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ


――旭山動物園の閉鎖を迫られるシーンがありましたが、実際に映画のような反対があったのでしょうか?
あの当時は、「動物園の予算三億円は、旭川市民の税金をドブに捨てるのと同じだ!」とまで言われていました。動物園に使うお金があれば、旭川市の全ての小学校に暖房施設を作ることができるんだ、とも。今でこそ、お客さんがたくさん来るようになって閉鎖しなくてよかったと思うかもしれませんが、あの言葉は、あの当時の正義だったと思います。

――そこまで言われてなお、旭山動物園の復興にかけた理由とは?
たとえば皆さんが、自分の事を“人間”だと自覚できるのは、どういう時だと思いますか?私はそれが、動物と会っている時だと考えています。地球上には、私達と違う価値観を持った生き物が、たくさんいる。その動物達の姿を見ることで、人間が人間であることの意味について考え、はじめて“人”として成長することができると思うんです。ですから旭川の子供たちが、しっかりとした人間に育つために、動物園は必要だと考えていました。

――では、最後に、この映画の見所をお願いします!
中村靖日さん演じる、吉田強とお母さんとの愛情を描いた人間ドラマや、不遇の時代を乗り越えた旭山動物園の再生物語など、さまざまな側面を持つ作品です。もちろん、動物達がたくさん出てくるので、何も考えずに見ても楽しめます。お母さんやお父さん、それにお子さんと、様々な人の心の中に、何かが残る映画ではないでしょうか。


吉田強役・中村靖日さんインタビュー!
「映画に出演することになった役者の中村です!と、アポなしで旭山動物園にうかがいました(笑)」

――完成した『旭山動物園物語』の感想を教えていただけますか?

 役者の仕事をしてますと、どうしても仕事の目線で作品を観てしまうことが多いんですが、この映画に関しては、すんなりと観客の気持ちになって感動することができました。というのも、僕が演じた吉田強や、そのモデルになった福園長の坂東元さんに、自分と共通するものを感じたからです。ですから作品を観ていると、吉田と自分自身が重なって、劇中で吉田にかけられる言葉が、そのまま自分自身に向けられているような気持ちになりました。

――吉田強と中村さんの共通点とは?

 少年時代の吉田強は、友達との付き合いよりも、昆虫や動物と接することを“楽しみ”を見いだしていた子供でした。そして大人になってから、動物園の飼育係として働くようになります。僕の子供時代にも友達が少ない時期がありまして、その時“映画”というものに興味を持ち、その延長で、現在、役者の仕事をしています。それぞれ興味の対象こそ違いますが、子供の頃に見つけた自分なりの“楽しみ”を現在の仕事にしているという点で、自分の人生と重なる部分が多いと思ったんです。

――役のモデルになった坂東さんとお会いする機会はあったんですか?

 この役を演じることが決まった時点で、少しでもいいから坂東さんとお会いしたいと思いまして。自分の想いを手紙にしたためて、アポなしで旭山動物園にうかがったんです。「映画に出演することになった役者の中村です! 坂東さんに会わせてください」と、動物園の受付の方にお願いしたんですが、その時の僕は、雪まみれでデロデロの姿だったんで、そうとう不審に思われたんじゃないですかね(笑)。
 その日は坂東さんがいらっしゃらなかったので、翌日、もう一度、動物園に参りましたら、広場のあたりで坂東さんを見つけて。目があった瞬間にお互い「あ!」っという感じに……ようやくお会いできたわけです。

――坂東さんとお話された印象はいかがでしたか?

 僕が坂東さんに感じたのは、動物を飼育して、お客さんに楽しんでもらうことに半生をかけた人間の、ある種の迫力のようなものです。しかし、そういう“岩”のように重厚な迫力を持ちつつも、動物の話になると子供のように無邪気にお話をされる方でした。動物に何十年も接している方の雰囲気が実感できたので、撮影前に少しでもご本人にお会いできて、本当に良かったです。

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

――撮影時、監督にたくさん叱られたというお話をお聞きしましたが……

それはもう、すがすがしいほどに叱れたました(笑)。とくに、クランクインしてすぐに、僕の芝居にある“クセ”に関して監督から注意されたんですが、あらためてもまた同じクセが出てしまって。「中村靖日さん、また(クセが)出てますよー」と監督に言われた時は、さすがに情けなくなって、撮影の後、こっそりと謝りに行ったこともあります。その時、監督は“にっ”と微笑みながら「オレも昔、同じことを監督に怒られたことがあるんだ。だけどそれは、オレが45歳の時だった。中村は今、35歳だろ?オレより10年早く気づいたんだから、しっかりやれよ!」と励ましてくださって。
 なんて懐の深い方なんだろう!と、監督の厳しさの中にある愛情を改めて感じました。
 ちなみに、そのクセが何かというのは…内緒にさせてください(笑)。

――西田さんほか、ベテラン俳優と一緒のお仕事はいかがでしたか?

 皆さん、僕が子供の頃からスクリーンやTVで拝見してきた方なので、まず、その存在の大きさに圧倒されたと言いますか……。そこにいらっしゃるだけで、独特な“空気”ができるんですよ、本当にスゴい。
 自分はまだまだ至らない点が多かったのですが、そんな皆さんに、非常に厳しく、でも、あたたかい言葉をいただきながら、自分にとって夢のような経験ができました。

――動物との撮影はいかがでしたか?

 作品の中で、吉田強がアザラシにエサを与えるカットがあるんですが、ただ、エサをやるだけなのに、撮影にすごく時間がかかりました。
 というのも、何度やっても僕が近寄っていくと、アザラシが逃げちゃうんです。
 どうすればいいだろう?と考えたとき、実際の飼育員の方が動物に話しかけいるのを思い出しまして。「おはよう」とか「ご飯おいしいね」とか、人間の言葉なんて解るはずないと思うんですけど、そうして話しかけるんだろう?と考えた時に、飼育係の方が本気で動物に気持ちを伝えようとしているからだと気づいたんです。
 だから。僕もアザラシに話しかけようと(笑)。

 「こわくないよ-、大丈夫だよ-、美味しそうだね-、ホッケ美味しそうだね」と語りかけながら、ちょっとずつ近寄っていくと、30分ほど経ったころ、ようやくエサをあげることができました。

――旭山動物園の感想は?

 旭山には、特別に珍しい動物はいないんですけど、見せ方が本当に素晴らしいんですよ。僕がはじめて旭山動物園を訪れたのは、“坂東さんアポなし訪問事件”の時だったんですけど(笑)、その時、イチバン感動したのは、アザラシでした。アザラシは、北海道では珍しい動物ではないのですが、円柱水槽をヒューと泳いでいる姿を見ていると、なんていうか……とてもキレイな浜辺にいる時のように、何時間でもそのにいたい気持ちになったんですね。これは風景と同じで、自然のままに近いモノを見せてもらってるんだなぁと。今まで体験したことのない感動でした。

――最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします!

 お子さんからお年寄りのお客様まで、それぞれの方が、いろいろな感じ方で楽しんでいただける映画だと思います。それに、難しいことをぬきに、エンターテイメント作品としても楽しんでいただきたいです!

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

滝沢寛治園長役/西田敏行さんインタビュー
「台本を読み返すたび、ラストシーンで涙が溢れてきました。」

――ベテラン俳優の方が多く出演されている『旭山動物園物語』ですが、撮影現場はどういう雰囲気だったのでしょうか?

映画に出ている動物達を上回るくらいに、強力な個性を持ったおじさん役者がいっぱい出ているんでね……まるでどっちが檻に入っているのか解らないくらい、役者達が動物園の空気にスーッと溶け込んでいましたよ。それにみんな、自分の役どころっていうのを、ちゃんと捉えているというか、しっかり見つめてるというか。動物園の飼育係であったり、園長であったりと、俳優達の気持ちが役にすんなりスライドできていたように感じました。

――撮影時の印象に残っているエピソードは?

そうですね、多々あるんですが……とくに、動物がらみのシーンは印象深いです。オスのチンパンジーがメスのチンパンジーにバナナを手渡すシーンがあるんですが、撮影の時は、動物園の檻の前で4〜5時間もの間、いつでもカメラをまわせる状態で待っていました。待ち時間も多く大変でしたけど、意図した映像が撮れた瞬間は、ある種の充実感や満足感がありましたね。

――休憩中、動物園を見学することがあったとか?

みんなそれぞれ、好きな動物がいる場所にバラバラと散っていって……僕はよく、シロクマの前から離れずにいましたよ。好きな動物を見にいくというより、会いにいってたんですね。この作品自体に“動物に会いにいく”というコンセプトがあるんですが、僕らも実感として「動物園っていうのは、動物を見るんじゃない、会いに行く場所なんだよな」っていう思いが、胸に芽生えたんだと思います。

――滝沢園長の役は、実際に旭山動物園の園長でいらっしゃる小菅園長がモデルとなっていますが、演技の際は小菅園長の人柄などを参考にされたのでしょうか?

小菅さんを見つめることによって、その一挙手一投足が、全て参考になりましたね。それに小菅さんにお会いした時、その人柄や動物に対する思いが、僕にはあっという間に理解できたと感じたんです。
僕が小菅さんに感じたのは、動物達に対して人間が何かを「与えてやっている」という上からの目線ではなく、野生や動物達の能力に対する敬意。そして、その動物達の能力を最大限に発揮できるような環境作りとは、どうゆうものかっていうことを真摯に考えた結果、現在の旭山動物園があるということです。
そこに至るまでの小菅さんの思いというのが、なんだか僕には、手にとるように理解できた。つまりそれは、人間の立場から野生の動物達を的確に理解し、命の平等さを、ちゃんと自分の中で定義できているってことだと思います。

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

――マキノ監督とは、本作についてどんなお話しをされましたか?

最初にオファーがあったのは、3年くらい前だったと思いますけど、その時「いずれ、あの旭山動物園をテーマにした映画を撮りたいと思ってる」と監督から聞きました。僕自身も、それはもうぜひ、やりましょうというお話をして。それから、どんな役どころですか? って聞いたら、たぶん園長になると思うとおっしゃってました。その理由については「西やんと小菅さんが、妙に似てるかもしれない」と。
監督が似てるって感じたのは、顔だったのか、考え方だったのか……その点は、ミステリーなんですけど。でも、僕がはじめて小菅さんを拝見した時にも「確かに自分と似てるな」と思いました。

――小菅さんのどんな部分が西田さんに似ていると感じられたのですか?

特別にルックスが似ているというわけじゃないんですけど……。なんていうかなぁ“いきざま”とでも言うんでしょうかね。小菅さんには、僕が園長役をやるって伝えた時「もっと二枚目がよかった」なんて冗談言われましたけどね(笑)。僕は「何を贅沢言ってんだ、本当に僕で良かったよー」って言い返しましたよ(笑)。

――ご自身が出演されている中で、お気に入りのシーンは?

うーん、いいシーンが連続的にあったんで、全てなのかなぁ……。でもやっぱり、ラストシーンが一番印象に残っている。滝沢園長が引退して動物園を去る時に、動物達が咆吼しはじめて、園長を送るシーンですね。
あのシーンは台本を読んだ時、何度読み返しても涙が出てきたんですけど、現場でもやはり落涙してしまって。撮影の時は、小菅さんもいらっしゃったんですが、彼は今年の3月、実際に勇退されるわけです。その思いを、僕がひと足先に味わわせてもらったんですが、小菅さんの気持ちが痛いほど解りました。
これだけ情熱をかけた仕事でも、必ず終わりがくるんだ、ということがね。これは、今、団塊の世代の人間達がみんな味わってることなんだけど、僕自身も、彼らと同じような気持ちになって映画のフィニッシュを迎えると思ってなかったんで、ちょっとびっくりしました。

この作品は、団塊の世代の人達に送る、一つのメッセージでもあると思います。


旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

監督・マキノ雅彦さんインタビュー
「奇跡的に撮影できた、動物達の豊かな表情。動物園の動物が、ありのままに輝く姿を観に来てほしい」

――旭山動物園のどんな点に魅力を感じて、映画化しようと思ったのですか?

TVのドキュメンタリー番組で旭山動物園を観てね。そこに映っていた動物たちの活き活きとした動きに感動した。あんなにも魅力的に動物達の姿を表現した園長や飼育係は、そうとうな“つわ者達”に違いない。「これは、映画にする価値があるぞ」と直感した。早速、取材を進めていくうちに、その直感はどんどん確信に変わっていった。映画が完成した今、やっぱり、宝の山を掘り当てたぜって感じで大感動しているよ。

――『旭山動物園物語』を通して、監督が観客に伝えたいメッセージとは?

旭山動物園の人たちを取材していく中で、はっきりしていったことなんだけど……。まず、野生動物っていうのは、弱肉強食が本質。強い者が生き残っていくことが、種の保存にとって一番大事な使命なんだ。弱い者は淘汰され、他の動物の食べ物となる。そして全ては土に還る。その、野生動物の尊厳をバックに描きながら、人間の素晴らしさを強調したかった。人間だけは、弱い者を生かし、弱点を個性として育て、大成に導くことができる叡智を持っている。それがこの映画のテーマなんだ。

――監督が言う“人間の素晴らしさ”とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

旭山動物園物語の中で出てくる。主役の吉田強のモデルは、旭山動物園の坂東副園長のことなんだが、少年時代、いじめられっこで、人間嫌い。だが昆虫や鳥には好奇心を持てた。あの醜いサナギがどうして蝶になるのか不思議でその瞬間を確かめたくて昆虫に魅せられたという。インタビューした時、彼が「ツバメの雛が育つまで、親鳥は何回、エサをやると思いますか?」って聞くんだ。その答えは「2,600回」。つまり彼は、その間ずーっと目を離さず数えてたという訳なんだよね。すごい根気だ。

仏教では、人間の能力の源のことを「器根(きこん)」とよんでいる。これはつまり、根気のこと。坂東副園長の場合も、昆虫や鳥への好奇心が集中力を生み、集中力が根気を育て、あの素晴らしい観察力という能力を誕生させたんだね。その観察力が、旭山動物園の小菅園長の手によって発展し、旭山動物園の行動展示となって花咲き今日の成功に繋げることができたんだ。
この弱い者の能力を育て、導くということは、野生動物には絶対にできない。掟に背いて弱いものを救い、弱者の種を遺すということは、種の絶滅につながるからね。人間の叡知は、弱者を人の世の美しさとパワーにすることを可能にする。
その人間の素晴らしさを、動物園にいる野生動物と対比させることで、観客に感動と共に楽しく面白く伝えたかった。

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

――入念な取材をもとに作られた脚本や、芸能プロの動物やCGを使わずに撮影した動物達など……そこまでして、真実にこだわった理由とは?

エンタテイメントには、ファンタジーやSFのように“全部作り物”っていう面白さもある。テーマパークに例えるなら、ディズニーランドのようなもの。本物の映画撮影所の中に作った、ユニバーサルスタジオは、実際に映画を撮ってる場所に、エンタテインメントを持っていったわけだから、賢いやり方だが、この映画も、本物の動物達の輝きを表現した旭山動物園を描くんだから。本当にあった事実だけで仕上げることが、面白さの基本だと思った。観客の本物に対する信頼感と共に、この映画に感動してもらいたいからね。“本物を楽しむ軸”をずらしてはいけないと思った。

旭山動物園は「命の尊厳と平等」、「自然破壊」や「絶滅動物」へのアピールも合わせ持つ、今、世界で最先端を行くテーマパークなんだ。

――西田敏行さんを園長役にキャスティングした決め手とは?

まず、猛獣に負けない“面魂(つらだましい)”を持ってること(笑)。ライオンやゾウやゴリラって、すごい存在感だからね。ああいう迫力ある存在と一緒に画面に映っても、負けない魅力のあるキャスティングが是非必要だと思った。
更に、西田さんが演じている園長役のモデル、旭山動物園の小菅園長は、日本の理想のお父さんのイメージがある。彼が“父親”の存在となり、あの坂東副園長という元いじめられっこを“息子”のように愛情をかけ、あれだけ立派な男に育てたんだ。坂東副園長が「ペンギンを空に飛ばしたい」って言った時に、園長は「おもしろい、飛ばして見せろ。夢は見られるだけ見ればよい」と言えた人柄。そのあったかさも合わせ持ったイメージの役者。それが西田さんだった。
西田さんは、昔、番組の取材で野生のマウンテンゴリラに会いに行って運良く遭遇したらしい。そこで命知らずにも、思わずマウンテンゴリラの背中に触ったって言うんだな。そうしたら、そのマウンテンゴリラ、西田さんの方に振り向いて「なんだよ」って顔しただけで何事もなく終わったらしい。きっと仲間と間違えたんだろう(笑)。つまり西田さんは、マウンテンゴリラお墨付きの存在感を持っていると、本物が認めてくれたんだから(笑)。
野生動物に負けない旭山動物園のお父さんのイメージを持った園長役を演じられるのは、日本中、西田さんをおいて他にないってことだね。

――最後に、作品の見所とメッセージをお願いします!

これまでみなさんは、映画やTVの中で、大自然の中にいる動物の映像を見る機会は多かったと思う。しかし、動物園にいる動物の、こんなにも豊かな表情を撮影した映像は、『旭山動物園物語』が世界で初めてさ。2年の撮影期間、何百時間というフィルムをまわして、奇跡的なシーンが本当にたくさん撮れた。たとえば、オスのチンパンジーがメスのチンパンジーにエサをやる姿やゾウの雪合戦やSEXシーンまで、普通ではありえないショットがたくさん。しかも、旭山動物園の動物に対するポリシーをつらぬいて、芸をする動物は一切使わずに撮れたのが、自慢であり価値ある映像だと思う所以だね。

動物園の動物が、まるで大自然の中にいるように輝いている姿をお見せできるので、お子さんと一緒に、家族連れで観てもらいたい。
その上で、人間も動物も命は平等で、仲良くしなきゃいけない。そのことが、未来の地球を救うんだってことを感じてほしいね。

旭山動物園はディズニーランドより深く面白いと感じてもらえれば最高だね。

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ