| 『浪華悲歌』(なにわえれじい) |
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1936年、71分、白黒 出演/山田五十鈴、梅村蓉子
原案/溝口健二 脚色/依田義賢 撮影/三木稔 録音/加瀬久、水口保美
アヤ子は会社の公金を使い込んだ父のために、薬種問屋の店主の妾になった。また、学費が払えずに困っている大学生の兄のため、自分に気のある男から金を騙し取った。警察に逮捕され、釈放後帰宅した彼女は、兄妹からつらく当られる。彼女の過失をなじり、自分勝手なことばかり言いつらう兄妹の姿。
日本映画史に欠くことの出来ない数々の傑作を世に送り出した名コンビ、脚本家の依田義賢との最初の作品。大阪を舞台に、徹底したリアリズムで人間の虚飾を暴く。大女優山田五十鈴が女優開眼したと言われる作品。
1936年度キネマ旬報ベスト・テン第3位
(c)1936 松竹 大谷 |
| 『祗園の姉妹』(ぎおんのきょうだい) |
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1936年、69分、白黒 出演/山田五十鈴、梅村蓉子
原作/溝口健二 脚色/依田義賢 撮影/三木稔 録音/加瀬久
倒産した木綿問屋の主人がなじみの芸者梅吉の家に転がりこんできた。落ちぶれた昔の男に義理を尽くす姉、梅吉。妹のおもちゃはそんな姉に批判的だ。「男はみんな自分勝手、女を利用するだけや」
封建的社会に従順な姉と、批判的で独立を勝ちとろうとする勝気な妹の対立、対比を通して、日本の封建的社会環境に向けた批判の眼差し。多様される引きのショットは、男の愚かさ、人間の愚かさをじっと見つめるおかしみとなり、この作品を人間喜劇と呼べるものにしている。
1936年度キネマ旬報ベスト・テン第1位
(c)1936 松竹 大谷 |
| 『残菊物語』(ざんぎくものがたり) |
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1939年、143分、白黒 出演/花柳章太郎、森赫子
原作/村松梢風 脚色/依田義賢 撮影/三木滋人、藤洋三 音楽/深井史郎
美術/水谷浩 配光/中島末治朗 録音/志木田隆一
五代目尾上菊五郎の養子菊之助は、上すべりな人気に思い上っていた。弟の若い乳母、お徳は真心から彼の芸の拙さを指摘する。菊之助がお徳に愛情を抱くようになった時、お徳は暇を出された。雇い女と不始末をおかすようでは、音羽屋の名跡にかかわるというのだ。
芸道に励む歌舞伎役者と、彼を支え、励ましつづけた女性との悲恋物語。献身的な女の愛情を女の意志、意地として描いている。ワンシーン・ワンショットの新しい表現様式を作り出した作品。優秀映画選奨の第一回文部大臣賞を授与された。
1939年度キネマ旬報ベスト・テン第2位
(c)1939 松竹株式会社 |
| 『元禄忠臣蔵・前篇』(げんろくちゅうしんぐら ぜんぺん) |
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1941年、112分、白黒 出演/河原崎長十郎、中村翫右衛門
原作/真山青果 脚色/原健一郎、依田義賢 撮影/杉山公平 音楽/深井史郎
美術/水谷浩 照明/中島末治朗 録音/佐々木秀孝
浅野内匠頭は、江戸城松の廊下で吉良上野介に斬りかかり、多門伝八郎の尽力にもかかわらず切腹の処分を受けた。悲報を受けた国許の赤穂城。国家老大石内蔵助は内心期するものがあり、妻子と縁切し、江戸へ向かう。
原作は真山青果の戯曲「元禄忠臣蔵」。調べられる限り忠実に追った史実を背景に、登場人物に生身の人間の魂が吹き込まれた作品だ。原寸大に再現した松の廊下を始めとするセット美術は、武家建築の完成と称讃され、時代考証に基いた衣裳、大道具、小道具、技髪、メイクは元禄風俗の貴重な参考資料とされている。
(c)1941 松竹株式会社 |
| 『元禄忠臣蔵・後篇』(げんろくちゅうしんぐら こうへん) |
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1942年、112分、白黒 出演/中村翫右衛門、河原崎長十郎
原作/真山青果 脚色/原健一郎、依田義賢 撮影/杉山公平 音楽/深井史郎
美術/水谷浩 照明/中島末治朗 録音/佐々木秀孝
上野介を討とうと単独で御浜御殿に乗り込んだ富森助右衛門は、綱豊卿に諫められる。内蔵助は瑶泉院に別れの挨拶に行く。泉岳寺の墓前に吉良の首を捧げた内蔵助たちは、従容として切腹の場に向かう。
故意に作りあげられた嘘くさいヤマ場の連続を否定し、人間対人間のリアルなドラマとして完成した。義士の行動はことさら美化されていないかわりに、生々しい現実感をもって迫ってくる。ワンシーン・ワンカット、思いきったカメラの大移動、リアリズムに徹することで作り上げた人間絵巻。
1942年度キネマ旬報ベスト・テン第7位
(c)1942 松竹株式会社 |
| 『夜の女たち』(よるのおんなたち) |
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1948年、73分、白黒 出演/田中絹代、高杉早苗
原作/久板栄二郎(「女性祭」より) 脚本/依田義賢 撮影/杉山公平 音楽/大沢寿人
美術/水谷浩 照明/田中憲次 録音/高橋太朗
戦争で夫を失い、子供も結核で亡くした房子は、密輸商の男の愛人になる。ところがその男は妹、夏子とも関係を持った。行方不明になった姉を探す妹。やっと再会した時、房子はパンパン街娼の姐御株になっていた。
大スターの田中絹代がパンパンを演じるということも大きな話題に。大阪、天王寺や阿倍野、新世界裏の荒廃した街々に大胆なロケーションを敢行。けわしい社会の波浪にもまれ、転落の道をゆく女たちのすさまじい生態をリアルに描写。映画リアリズムの極致をつく鋭い凝視。
1948年度毎日映画コンクール女優演技賞(田中絹代)
1948年度キネマ旬報ベスト・テン第3位
(c)1948 松竹株式会社 |
| 『雪夫人絵図』(ゆきふじんえず) |
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ニュープリント
1950年、86分、白黒 出演/木暮実千代、上原謙
原作/舟橋聖一 脚色/依田義賢、舟橋和郎 撮影/小原譲治 音楽/早坂文雄 美術/水谷浩
端正な溝口美学に濃密なエロスが漂うメロドラマの傑作!
船橋聖一の同名長編小説を完全映画化。旧華族のお嬢様だった雪がサディスティックな夫に苦しめられながらも、体では夫を求めずにはいられないという、女の葛藤と苦悩を濃密なエロティシズムで描き出す。数ある溝口の作品群の中でも最も官能的である。木暮実千代が雪夫人を匂い立つような妖艶さで巧演。
(c)国際放映 |
| 『お遊さま』(おゆうさま) |
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ニュープリント
1951年、95分、白黒 出演/田中絹代、乙羽信子、堀雄二
原作/谷崎潤一郎 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄 美術/水谷浩
照明/岡本健一 録音/大谷巌
お静とのお見合いに臨んだ若き骨董商の慎之介は、お静ではなく付き添いの姉のお遊に惹かれてしまう。未亡人で一児の母であるお遊は、そんな慎之介の気持ちを知りもせず、お静に結婚を勧める。お静は、慎之介がお遊に惹かれていることを知り、二人の橋渡し役になることを心誓うのだった・・・。
谷崎潤一郎中期の傑作「芦刈」を映像化。嵐山、長谷寺といった美しいロケーションを背景に、3人の男女の複雑な感情のひだを宮川一夫の流麗なキャメラが切り取っていく。溝口健二初の大映作品で、盟友宮川一夫と始めてコンビを組んだ秀作。
(c)1951 角川ヘラルド映画 |
| 『武蔵野夫人』(むさしのふじん) |
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1951年、88分、白黒 出演/田中絹代、森雅之、轟夕起子
原作/大岡昇平 潤色/福田恆存 脚色/依田義賢 撮影/玉井正夫 音楽/早坂文雄 美術/松山崇
人間愛欲の心理を追及する巨匠・溝口が描く絢爛豪華な文芸映画詩
静寂な武蔵野台地。ここに栗林を隔てて宮地家と大野家があった。宮地家の道子は終戦直後に両親と死に別れ、夫の秋山とこの家を守っていた。一方、道子の従兄大野は工場経営が成功し、妻の富子と派手な生活を送っていた。そんなある日、宮地家に出征以来行方不明だった道子の従弟勉がひょっこり帰ってきた。勉は宮地家で引き取られ、富子の娘節子の家庭教師をすることになった。やがて、道子は勉を一人の男として意識するようになった・・・。
(c)1951 TOHO CO., LTD. |
| 『西鶴一代女』(さいかくいちだいおんな) |
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1952年、137分、白黒 出演/田中絹代、三船敏郎
原作/井原西鶴 脚本/依田義賢 撮影/平野好美 美術/松山崇
凍てつくような冬の夜明け、厚化粧に身をやつした惣嫁と呼ばれる街娼お春が羅漢堂に入っていく。お春は、五百羅漢の仏像に自分がかかわりあった男たちの顔を重ねて遠い昔を偲ぶ。不義密通罪で斬首刑に処せられた勝之助がいる。松平の殿様、笠屋嘉兵衛、扇谷弥吉もいる・・・。幾人かの男たちと出会い、そして別れていくたびに不幸になっていく我が身を振り返っていく・・・。ヴェネチア国際映画祭監督賞を受賞!溝口が心魂を傾注した古典文芸作品。
第13回ヴェネチア国際映画祭国際賞受賞
1952年度キネマ旬報ベスト・テン第9位
(c)1952 TOHO CO., LTD. |
| 『雨月物語』(うげつものがたり) |
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ニュープリント
1953年、97分、白黒 出演/京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之
原作/上田秋成 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄 美術/伊藤喜朔
照明/岡本健一 録音/大谷巖
戦乱の到来を契機に大商いを目論む陶器の名工源十郎と、侍として立身出世を夢見る弟の藤兵衛、そして息子と家族三人で貧しくともささやかな幸せを望む妻の宮木。そんな三人の命運を、やがて荒廃した時代が飲み込んでいく・・・。夢と現実の枠を超えたリアルで幻想的な世界感。美しいとしか形容できないため息が思わず零れる映像美と、人間の愚かさをまっすぐに捉えた胸に迫るストーリー。上田秋声原作の「雨月物語」を題材に、宮川一夫をはじめとした最高のスタッフ、京マチ子や田中絹代、森雅之ら最高のキャストを揃えて映画化。深い感動を禁じえないラストシーンなど、あらゆる映像作家に影響を与えた名シーンが続出し、日本映画という枠を超えた世界的な傑作といっても過言ではない。長いスランプを乗り越えただけでなく、この一作で溝口は世界のミゾグチとなった。
第14回ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞、イタリア批評家賞受賞
第28回アカデミー賞白黒衣装デザイン賞
1953年度キネマ旬報ベスト・テン第3位
1953年度毎日映画コンクール美術賞、録音賞受賞
1953年度文部省芸術選奨受賞(宮川一夫)
1955年度エジンバラ映画祭デヴィッド・O・セルズニック賞受賞
(c)1953 角川ヘラルド映画 |
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| 『祇園囃子』(ぎおんばやし) |
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ニュープリント
1953年、85分、白黒 出演/木暮実千代、若尾文子
原作/川口松太郎 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/斎藤一郎 美術/小池一美
照明/岡本健一 録音/大谷巌
古くから文人たちに親しまれた日本の代表的花街、京都の祇園町。この街では名が知れた、義理と人情に生きる芸者・美代春に、みすぼらしい姿の少女が尋ねてくる。少女の名は栄子。両親を亡くし舞妓志願にやってきたのだ。舞妓仕込みには莫大な費用がかかる。しかしどんな苦労でもするという栄子の思いに打たれ、美代春は引き受けることにするのだが・・・。
艶麗な姉芸者を演じるベテラン木暮実千代と若き舞妓を演じる新人若尾文子が、役柄とオーバーラップし、映画に深みを与える。「雨月物語」と「山椒太夫」という大作に挟まれて製作された本作は、女性映画を最も得意とする溝口の本領が発揮された美しい珠のような一作である。
1953年度キネマ旬報ベスト・テン第9位
1953年度ブルー・リボン賞男優助演賞、女優助演賞受賞
(c)1953 角川ヘラルド映画 |
| 『山椒大夫』(さんしょうだゆう) |
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ニュープリント
1954年、124分、白黒 出演/田中絹代、花柳喜章、香川京子
原作/森鴎外 脚本/依田義賢、八尋不二 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄
美術/伊藤喜朔 照明/岡本健一 録音/大谷巌
人攫いの罠にかかり、母親と離れ離れとなった厨子王と安寿の兄妹は、豪族山椒大夫の許に売られてしまう。奴隷となった二人は過酷な労働を課せられながらも、母親との再会を望む日々を送る。それから十年、大きくなった二人は依然として奴隷の境遇のままであったが、ある日、新しく買われた奴隷が口ずさむ唄に、自分たちの名前が呼ばれているのを耳にする。由来を尋ねると、子供を攫われた自分たちの母親の叫びであることがわかり、二人は遂に脱走を決意する。
有名な民話を元にした森鴎外の小説を、徹底したリアリズムと完成された映像美で映画化。人身売買が横行する平安時代を舞台に、親子の愛情や人身売買や姥捨てなどの人権問題を描いた傑作。本作でヴェネチア映画祭三年連続受賞という偉業を達成。日本映画の底力を世界に認めさせた。
第15回ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞受賞
1954年度キネマ旬報ベスト・テン第9位
(c)1954 角川ヘラルド映画 |
| 『噂の女』(うわさのおんな) |
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ニュープリント
1954年、84分、白黒 出演/田中絹代、久我美子
脚本/依田義賢、成沢昌茂 撮影/宮川一夫 音楽/黛敏郎 美術/水谷浩
照明/岡本健一 録音/大谷巌
京都の色街・島原で置屋を女手一つで切り盛りしている初子。東京の音楽学校に通い、婚約直前であった娘、雪子が自殺を図り、家へ戻ってくる。初子は年下の医者で思いを寄せている的場に娘を診せる。傷心の雪子であったが、いつしか親密となった的場に、母親の仕事のために自分の婚約が破棄されて自殺に及んだことを打ち明ける・・・。
田中絹代演じる古き遊楽街の住人である母親と、久我美子演じるまるでオードリー・ヘプバーンのような風貌の現代的な娘。生き方の対立だけでなく、同じ男を好きになるというドラマティックな物語は、一編も飽きさせることがない。緻密な“井筒屋”のセット、軽やかなキャメラワーク、老いらくの恋を描いた狂言を挟み込むなど、様々な意趣が凝られている。『祇園囃子』から『赤線地帯』へと通ずる遊郭ものの秀作である。
(c)1954 角川ヘラルド映画 |
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| 『近松物語』(ちかまつものがたり) |
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ニュープリント
1954年、102分、白黒 出演/長谷川一夫、香川京子
原作/近松門左衛門 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄
美術/水谷浩 照明/岡本健一 録音/大谷巌
宮中の大経師の手代・茂兵衛は、ある誤解から師の後妻おさんと不義密通の汚名を着せられる。師の怒りを買った二人は、家を逃げ出し、たどり着いた琵琶湖で入水自殺を考える。しかし、いつしか二人の間には真実の愛が芽生えていた。二人は命懸けの逃避行を続けることにするのだが・・・。
まさに、息もつかせぬ恋愛劇。死罪に値する不義の関係を貫き、捕われ刑に処される直前まで愛を誓い合う二人の姿には、涙を零さずにはいられない。自由に愛することができなかった時代の制約を超えた、究極の純愛映画と言える。近松門左衛門の有名浄瑠璃「大経師昔暦」に井原西鶴「好色五人女」の一編「中段に見る暦屋物語」を合わせて映画化。大スター長谷川一夫と巨匠溝口健二との初顔合わせは、静謐な中にも緊張感みなぎる傑作へと昇華させ、ともにキャリアを代表する作品となった。
1954年度キネマ旬報ベスト・テン第5位
1954年度ブルー・リボン賞監督賞、音楽賞受賞
1954年度文部省芸術選奨受賞(溝口健二)
1954年度日本映画技術賞撮影賞、照明賞受賞
(c)1954 角川ヘラルド映画 |
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| 『楊貴妃』(ようきひ) |
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ニュープリント
1955年、98分、カラー 出演/京マチ子、森雅之、山村聰、小沢栄
脚本/陶秦、川口松太郎、依田義賢、成沢昌茂 撮影/杉山公平 音楽/早坂文雄
美術/水谷浩 照明/久保田行一 録音/橋本国雄
唐王朝の玄宗皇帝は、深く愛していた妃を亡くし失意の中にいた。側近は再び皇帝の心をとらえる女性を探すが、どんな美女でも皇帝の目には留まらない。そんな折、地方から京での立身出世を企む安祿山は、楊家の台所で真っ黒になって働く娘玉環を見初め、太真と変えさせて皇帝に推薦する。前の妃によく似たその娘に興味を持った皇帝。玉環もまた、悲嘆にくれる皇帝の気を慮り、年に一度の祭りで賑わう長安の市井へと連れ出す。
溝口健二監督初のカラー作品は、豪華絢爛の宮廷を舞台とした色鮮やかな歴史劇。白居易(白楽天)の『長恨歌』に基づいて、玄宗皇帝が楊貴妃を溺愛したために国を滅ぼしたとされる史実を背景に、あくまで一組の男女の悲恋に焦点を当てた作品。溝口は一方で美術・衣装に慎重な歴史考証を重ねながら、一方では史実にとらわれない皇帝と楊貴妃の愛を描き、美しい情感溢れる大作を創出した。
1955年度毎日映画コンクール音楽特別賞、色彩技術賞受賞
1955年度日本映画技術賞照明賞受賞
(c)1955 角川ヘラルド映画 |
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| 『新・平家物語』(しんへいけものがたり) |
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ニュープリント
1955年、108分、カラー 出演/市川雷蔵、久我美子、林成年、木暮実千代
原作/吉川英治 脚本/依田義賢、成沢昌茂、辻久一 撮影/宮川一夫
音楽/早坂文雄(佐藤勝) 美術/水谷浩 照明/岡本健一 録音/大谷巌
貴族社会が衰退し、代わって武家社会が台頭してきた平安末期。西海の海賊討伐や朝廷と比叡山延暦寺との紛争を解決するなど、武士台頭の象徴となった平忠盛は、公卿たちには好まれない。その長男清盛は、忠盛に肩入れをして干されてしまった藤原時信を訪ね、そこで時信の娘時子と出逢い強く心惹かれる。そんな折、清盛は自分の本当の父親は白河上皇であると耳にし、忠盛に対し複雑な思いを抱く。そんな清盛と忠盛であったが、平家の台頭を忌み嫌う公卿や山門たちの影が忍び寄っていた・・・。
出生の秘密を抱えた清盛の相克、権威へと立ち向かう反逆心、そして恋。時の権力が貴族から武家へと移りゆく時代を背景に、一人の青年の自分探しを描いた本作は、圧倒的なスケールの中で屹立した魅力を放つ。吉川英治の長大な原作を、三部作構想の一作目として映画化。宮川一夫の流麗なクレーン撮影は、世界の映画作家たちを唸らせた。デビュー二年目の市川雷蔵は、溝口の厳しい演出のもと、俳優としての魅力を開花させ、本作をきっかけに一気にスターダムへとのし上がっていく。
(c)1955 角川ヘラルド映画 |
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| 『赤線地帯』(あかせんちたい) |
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ニュープリント
1956年、86分、白黒 出演/京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子
脚本/成沢昌茂 撮影/宮川一夫 音楽/黛敏郎 美術/水谷浩 照明/伊藤幸夫 録音/長谷川光雄
赤線地帯と呼ばれる、男たちが一夜の快楽を求めさまよう歓楽街。そこは娼婦たちが切実に生きている街である。サロン「夢の里」では、金が総てと悟る売れっ子のやすみ、浪費家で街娼上がりのミッキー、失業中の夫を抱え家から通うハナエ、子供のため住み込みで働くゆめ子などが、それぞれのやり方で客引きに勤めていた。しかし、折から国会に提出された売春禁止法案がこの街に大小の波紋を呼ぶ。特に、自分たちの稼ぎ場所が無くなってしまうかもしれない娼婦たちは、みなそれぞれの生き方を見つめなおし、動き出す・・・。
人生のギリギリの地点で生活する女性たちを大映が誇る豪華キャストで描いた溝口女性映画の最高峰。本作の製作当時、何度も国会に提出され廃案となっていた「売春廃止法案」だったが、56年5月に成立し、この時事性のため大ヒットした。溝口は次回作に意欲を燃やす中、公開間もなく入院、8月24日骨髄性白血病のため58歳で永眠。本作が遺作となった。
(c)1956 角川ヘラルド映画 |
関連作品(原作 溝口健二)
『大阪物語』(おおさかものがたり) |
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ニュープリント
1957年、96分、白黒 監督/吉村公三郎 出演/市川雷蔵、香川京子、中村鴈二郎、勝新太郎、中村玉緒
原作/溝口健二、井原西鶴(「日本永大蔵」「世間胸算用」「萬の文反古」より)
監督/吉村公三郎 撮影/杉山公平 音楽/伊福部昭 美術/水谷浩 照明/岡本健一 録音/海原幸夫
溝口健二の遺業を、吉村公三郎監督をはじめとする最高のスタッフと、市川雷蔵ほかオールキャストを揃えて映画化。原作は、溝口健二が、井原西鶴の「日本永代蔵」「世間胸算用」「万の文反古」に材をもとめ、まとめたもの。物語は元禄時代のころ。年貢が納め切れずに夜逃げした農民・仁兵衛だったが、たどり着いた大阪の船着場に落ちている米を拾ううちに大金持ちとなる。しかし苦労してお金を貯めたゆえ、徹底したケチンボな性格になっていたのだった。仁兵衛役に抜群のコメディセンスを発揮する中村鴈二郎。市川雷蔵や勝新太郎、香川京子、中村玉緒など人気上昇中のスターが集結。
(c)1957 角川ヘラルド映画
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