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今月のピックアップ・バックナンバー

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第64回「ふたりの名優を偲ぶ 松方弘樹さん 神山繁さん」

ご愛読いただいている方には、久しぶりの更新となり申し訳ございません。今回は、今年お亡くなりになられた、松方弘樹さんと神山繁さんというふたりの名優を偲び、大井利一が皆様に是非ご覧いただきたい作品を紹介いたします。

先ずは松方弘樹さんの作品紹介。大映と松方さんの取り合せに疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、大映は市川雷蔵さんが亡くなられて主役を張れる役者が手薄になったことで、東映からレンタル移籍という形で松方さんを迎え入れ、雷サマのシリーズ作品を演じてもらうことにしました。
『眠狂四郎 円月殺法』(’69)と『眠狂四郎 卍斬り』(’69)の「眠狂四郎シリーズ」、『薄桜記』(’59)をリメイクした『秘剣破り』(’69)、「忍びの者シリーズ」を群像劇にした『忍びの衆』(’70)などの作品があります。雷サマと松方さんのキャラクターは正直な所、真逆と言っても良く、いまいちフィットしませんでした。余談ですが、『眠狂四郎 卍斬り』 (’69)では後に眠狂四郎を持ち役として田村正和さんが敵役として出演しているのも今となっては面白いポイントです。
雷サマの呪縛から逃れ松方さんの甘いマスクで威勢が良いキャラクターを活かした『兇状流れドス』(’70)がおススメです。“手品まがいのドスさばき”を持つ流れ者・銀次を小気味よく演じています。
角川映画では、『野性の証明』(’78)に出演、高倉健さん演じる主人公・味沢の元上官として陸から空から健さんを追い詰めます。

続いて神山繁さんの作品紹介。『からっ風野郎』(’60)で、役者として映画初主演を果たした三島由紀夫を付け狙う胡散臭い殺し屋として大映映画に初出演しています。『天狗党』(’69)や『金環蝕』(’75)では、神山さんが得意とした「どんなことにも動じない冷静さと、蛇が如き執拗さで主人公を計算高く追い込む“冷徹な敵役”」を好演しています。
特におススメしたいのは先ほども紹介した『眠狂四郎 円月殺法』(’69)です。将軍・家慶の隠された双子の弟・敏次郎を担ぎ出し、将軍交代を図る大目付・佐野勘十郎役の神山さんは、邦画史上屈指の“格好良い悪役”を演じます。狂四郎に策略を破られた勘十郎は最後に“侍の自刃とは何ぞや?”を体現します。
近年は温厚な役柄も多く、「踊る大捜査線」の警視庁副総監役や、労働組合に押され気味な国民航空社長を演じた『沈まぬ太陽』(2009)などがあります

今回紹介した作品は『薄桜記』と『野性の証明』以外の作品はパッケージ化していませんが、大映・角川映画・日本ヘラルド映画の作品を掘り下げている「角川シネマコレクション」公式HPで上映情報を随時ご確認していただけると幸いです。

眠狂四郎 円月殺法

製作年:1969年

悪い奴らを斬りまくる。
松方狂四郎、新円月殺法の登場だ!!

眠狂四郎 卍斬り

製作年:1969年

裸女の口から吹き針!鋭い剣を忍ばせる女体の罠!
危うし狂四郎、夜を切り裂く!

秘剣破り

製作年:1969年

この恋に生き、この愛に死のう……初雪を朱に染めて、炎と燃える壮絶の剣!

忍びの衆

製作年:1970年

ありとあらゆる忍びの術で、潜入なるか鉄の城!
脱出なるか大迷路!盗み出せるか天下の美女!

兇状流れドス

製作年:1970年

若僧ながらいゝ腕だ! カンの虫にさわるな、寄るな!
ニンマリ笑った不敵なツラで手品まがいのドスさばき!

野性の証明

製作年:1978年

お父さん、こわいよ! 何か来るよ 大勢でお父さんを殺しに来るよ!

からっ風野郎

製作年:1960年

文壇の寵児・三島由紀夫が、裸の胸に皮ジャンを羽織ったクールなヤクザに扮し初映画主演を果たした話題作。

天狗党

製作年:1969年

幕末ゲバルト、二千人の人斬り集団!